前回は介護リフトに用いる吊り具「スリングシート」のことをお伝えしましたが、今回は「スライディングシート」について。よく似た名前ですが、全く別の福祉用品です。介護が必要な人をベッド上で移動させたい時に、直接体を持ち上げて動かすのは大変ですが、スライディングシートという主にナイロン製の薄いシートをベッドと背中の間に敷いてから、シートごと移動させると楽に動かすことが出来ます。介護ベッドの背上げをして上半身をやや起こした状態にしていると、少しずつ体が脚の方にずれてしまうことがよくあります。そんな時に適切な位置に戻したり、寝返りをさせる前に一旦、ベッドの奥の位置に行って欲しい時などにスライディングシートがあると、非常に便利です。
これは、ただあれば良いものではなく、シートをどこに置けば良いか、どうすればスムーズに体の下に入れることが出来るか等、使い方を知っておくことが大切です。例えば寝ている状態で頭と肩甲骨辺りの下にシートを敷き込むのか、腰まで入れるのか。寝ている人をどう動かしたいかによって使い方が異なり、圧が一番かかっている所に敷きこむのが非常に有効なのです。とても便利なものですが、慣れないと使いにくいので、訪問看護師さんやヘルパーさんなどに上手に使うテクニックを教えてもらうと良いでしょう。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄や介護に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。