前々回もヤングケアラーの話でしたが、今回ももう少し。
今年、福祉業界でホットな話題の一つには『ヤングケアラー支援』があげられると思います。注目されるようになったのは、2019年に起きた、孫が介護に疲れ祖母を殺害してしまった事件の判決が2020年秋に出たことによる部分が大きいのですが、その後、神戸市をはじめとした自治体や支援機関が、「ヤングケアラー」について注目し支援を開始し始めています。
ヤングケアラーとは、日本ケアラー同盟の説明によると「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートを行っている18歳未満の子どもをいいます。」と記載されています。
厚生労働省 ヤングケアラーについて https://www.mhlw.go.jp/stf/young-carer.html
とはいえ、正直なところ、「今さら、ここでやっとか!!」という思いがあります。時々、同じ福祉職からも同様の言葉が聞かれるので、そう思っている人は少なくないんだと推測します。
ヤング(つまり、おおざっぱに言うと子ども)の支援をする場面では、大人の家族に代わって、家事をしたり幼児の面倒をみたりする話は以前から数多くありました。当然、その中には「お手伝い」と説明されて納得できるものが多いのですが、中には、それを超えている話もあり、また、それが珍しいわけでもありません。
ただ、例えば子どもの生活について知りやすい学校では、家庭での家事や育児や介護について、それが過負荷であると推測しても、なかなか家庭のことに先生たちが意見するのはハードルが高いものでした。
その背景には、「家庭のことには口を出さない」という世間的な常識めいたものの力があるのだと思います。
子どもを取り巻く環境について、働きかけ、子どもが子どもらしく安心して成長できるような環境を整えるため、子ども分野で働く福祉専門職や、スクールソーシャルワーカーが配置され、少しずつ、子どもの人生と生活への関与が始まっていますが、それでもまだまだ・・・
なので、ヤングケアラーへの注目は、今さら感があるのですが、一方で、広く認識され始めてきたことは、社会の価値観を変えていくチャンスだと思います。
家族の中で介護介助や育児を抱え込んでしまわないこと
家族の中の弱い立場になり得る人に、負荷を集中させないこと
特に子どもは、年齢等に見合ったタイミングで学び経験しておくことが大切なこと
そして、社会は「家族なんだから」介護をやって当然、と思いすぎないこと
そういうことの認識が大切だと思います。
今から、暮らしやすい社会に変えていくためにすべきことは、たくさんありそうですが、まずはきちんと知って考えることですね。