前回のインタビューの続きです。
彩
たくさんの人たちが、自分の仕事が何につながるのか見えなくなって、もうずいぶんになる。昔は、目の届く範囲、気持ちの届く範囲だった。広がれば広がるほど、部分だけをする仕事が増えていき、結果が自分には見えない。
坂本健氏
効率だけを求めるのなら、完全分業にして「ここではこれだけをする」ってしたほうが効率は上がる。
でも、それだけしていて働いているみんなが楽しいのかどうか。そうではない。コミュニティは無駄に広げすぎずに、目指す方向性を一緒にできる人たちが文化を作り上げて、なにかしていって、その循環が生まれることがすごく重要で、それが人間の栄養になるというか…、楽しさとかそういうことになると思う。
だから、いまいろいろやっていることを無理して量を増やすことはないと思っていて、いろんな人がいろんな思いでその組織が、無理なくいいように動くくらいの規模でやっていけばいいなと思う。
物事を大きなうねりで全部動かそうとすると、絶対にそれの負荷が出てくるから、一挙に一網打尽!みたいなことはやる必要がないこと。
彩
部分だけを分業でするようになった時、自分の仕事の結果は見えないから、ほかに何かしらの対価が欲しくなる。それがやっぱり、金銭に偏りすぎてしまうと、労力をいかに使わずに1円でも多くお金を得るということになってしまう。そうなると仕事としての質は落ちていく。自分の仕事の結果が見える範囲にあれば、自分の役割で手を抜いた結果も見えるからそれはやっぱり嫌だから…。
坂本健氏
それがレストランのすごくいいところで、完結するから。カバンづくりの仕事をしている友人はレストランを「すごくええな」っていう。
料理を作って、食べてもらって、喜んで「おいしかった」って帰っていくところまでがこの空間で全部完結する。
それはなかなかない仕事だと思う。そして、そのことを生産者にフィードバックしていく。
「今回の野菜よかったよ」「こんな料理になったよ」ってちゃんと伝えようと思っている。
彩
自分の仕事の結果が見えない中にいたら、誇りもなくなる。自分の仕事も尊重されないから相手の仕事も尊重しなくなってしまう。
坂本健氏
―人が誇りを持った仕事が循環することで生まれる空気。それぞれの仕事を尊重すること。
相手が作ったものを尊重し、それを大切に表現する。結果をフィードバックする。
それを繰り返して循環していけば、相手をないがしろにするなんてことはできなくなる。
<次回に続く>