止揚とは、矛盾する二つの理念を一つ高い次元で統一すること。先日近くの若い農家の人が、田中さんの野菜が食べたいと作業場を訪ねて来てくれた。その彼は、慣行農法での葱の周年栽培を大規模に手掛ける農業法人の社長だ。有機農業に興味があり、自分たちの食べる分くらいは、有機でやりたいと思っている。田中さんの野菜と慣行農法の野菜を食べ比べてみたいとのことだった。後日、慎重に言葉を選びながら感想を話してくれた。要約すれば「僕らの野菜とは違ってね、歯応えがあるのに硬くない。しっかりとした味だけれど優しい味だ。」と「誤解がないように」と付け加えたうえで、一見矛盾したことをどう表現したら良いものかと思案しながら話してくれた。アッ！「止揚。」予備知識のない中での彼の感想に有機野菜の本質が、言い当てられていた様に思う。京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。