1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件に着想を得たアン・パチェットの小説を映画化。南米国家の副大統領邸で、テロリストと人質との間に生まれる交流を描く。
人質のオペラ歌手に『アリスのままで』などのジュリアン・ムーア、日本人実業家を渡辺謙が演じるほか、セバスチャン・コッホ、クリストファー・ランバート、加瀬亮らが共演。
『アバウト・ア・ボーイ』などのポール・ワイツがメガホンを取った。
《あらすじ》
実業家ホソカワ(渡辺謙)の会社の工場誘致のためのパーティーが催されていた南米某国の副大統領邸に、テロリストが乱入し占拠する。人質になった各国の要人ら招待客の中には、世界的オペラ歌手のロクサーヌ・コス(ジュリアン・ムーア)もいた。
テロリストと政府の交渉が平行線をたどる中、ロクサーヌの歌をきっかけに人質とテロリストの間に師弟のような関係性が芽生える。
ペルーの日本大使館人質事件を彷彿させる状況下で、テロリストと人質が心を通わせる展開に複数の恋が加わったロマンス小説のような物語。ジュリアン・ムーアや渡辺謙といった大物役者がそろっているが、ドラマ自体が平板でわかりきった結果への盛り上がりに欠ける。
音楽愛や学びたいという向上心、若きテロリストに対する親心めいた感情がとても人間的なのはわかるが、事件が起きた官邸で芽生えるのはストックホルム症候群というわけじゃない共感性は謎で、当事者でないと理解できないのかもしれない。加瀬亮が好演。
終映後の、虚無感はなんだ!
★★85点★★