新年を迎えたと思ったら、はや大寒ですね。今週は猛烈な寒波が来るとか。皆さん、十分あたたかくしてお過ごしください。
△~〇車座や慣れぬ手つきの注連作り 作好
【評】なぜ慣れない手つきだと感じたのか、そこを具体的に写生するとさらに俳句らしくなります。「車座のみな指赤く注連作り」など。
△~〇着ぶくれて夫に貶され散歩する 作好
【評】「貶(けな)され」というのは穏やかでありませんね。もう少し平穏な表現を見つけましょう。「着ぐるみと夫に笑はる着ぶくれて」など。
〇玄関の脇に色づく蜜柑かな 美春
【評】特に難点はないのですが、もう少しインパクトがほしい気がします。「玄関の脇の蜜柑の黄金いろ」など。
△~〇冬ぬくし駆けくる仔犬抱き上げり 美春
【評】「上げり」は文法ミスですので、「上ぐる」としましょう。「駆け寄れる仔犬抱きあぐ冬の朝」としてもいいかもしれませんね。
〇幾重にも雲を彩する初茜 瞳
【評】「彩する」はどう読むのでしょう。「幾重にも雲を彩り初あかね」としてみました。平仮名を増やすと句に明るさと軽みが出てきます。
〇二日目や夫の自慢のおでん鍋 瞳
【評】具体的にどこが自慢なのでしょう。そこが具体的に描写できるといいですね。「二日目や夫の餅入りおでん鍋」など。
〇福引のことり音して金の玉 智代
【評】金の玉ですので、どうせならもう少し景気のよい音を立てさせても面白いかもしれませんね。「高き音立て福引の金の玉」など。
〇烏骨鶏の黄身ぷつくりと初炊ぎ 智代
【評】上五の字余りが気になります。とりあえず「初炊ぎ烏骨鶏の身ぷつくりと」としてみました。
△~〇張り詰めし心癒えゆく冬の虹 恵子
【評】傷ついた心が冬の虹によって慰められたのですね。しかし上五中七は観念を述べただけです。そこを具体描写しないといけません。一例ですが「冬の虹息緩やかにゆるやかに」など。
△~〇前向きに踏み出す勇気寒つばき 恵子
【評】こちらも上五中七が観念です。「寒つばき空広々とありにけり」など具体描写を心がけましょう。
〇書初の筆飛び跳ぬる丙午 妙好
【評】妙好さんは丙午生まれなのですね。筆が飛び跳ねては、墨が飛び散りそうですので、「書初の筆を弾ませ丙午」くらいでどうでしょう。
△~〇杮葺きの如庵を包む春の雪 妙好
【評】上五の字余りは避けましょう。如庵といえば杮葺きであることは自明ですので省略できます。「ぽつてりと春の雪積む如庵かな」などもう一工夫してみてください。
△~〇お揃ひの靴でお出かけ日脚伸ぶ 徒歩
【評】「お」の重複が気になるところ。また、「お出かけ」は午前のイメージですが、「日脚伸ぶ」は午後に実感できる季語のように思います。とりあえず「お揃ひの靴とポシェット日脚伸ぶ」としておきます。
◎冬の日や川の真中に浮木立てて 徒歩
【評】冬の川釣りの場面ですね。「真中」がたしかな写生です。「浮き」と表記したほうが分かりやすいかもしれません。
◎山門に詰め放題の柚子の山 万亀子
【評】寺で採れた柚子を「自由に持って行ってください」と置いてあるのですね。句の明るさが魅力的です。
〇掃初や猫の和毛の少しほど 万亀子
【評】しっかりとした写生句ですが「少しほど」がどうでしょう。とりあえず「掃初や猫の和毛の斑いろ」としておきます。
〇竹笊に大椀伏せて冬麗 白き花
【評】中七が「伏せて」ですと切れが弱いので、「竹笊に伏せし大椀冬うらら」としてみました。ただ、「冬麗」は主として戸外で使う季語です。冬の太陽が燦燦と輝いている情景ですので。台所の場面であれば、季語を再考したほうがいいかもしれません。
△~〇大根は葉の勢ひを目安とす 白き花
【評】これでは買い物指南の標語ですね。「ふさふさの葉つぱの大根選びけり」としておきます。
△~〇新雪や月に降り立つごとく行く 永河
【評】「降り立つ」は一つの動作、「行く」はまた別の動作ですので、両者を「ごとく」でつなぐのは無理があります。とりあえず「新雪の足跡月にしるすごと」としてみました。
△~〇草生ふる音はペンペン薺摘む 永河
【評】「草」と「薺」の関係がわかりません。どちらか一つに絞りましょう。薺のことをぺんぺん草とも呼びますが、「ぺんぺん」はそこからの連想でしょうか。作為が見えてしまいますので、そこは消し、「土こぼるる音のかすかに薺摘む」などもう一工夫してほしいと思います。
〇埋火やカイゼル髭の祖父威張り 真冬
【評】いかにも明治生まれという感じですね。「威張り」を消したいところです。「埋火やカイゼル髭を撫づる祖父」としてみました。
△~〇人日や若者の歌呪文めく 真冬
【評】「呪文めく」があいまいですし、どこで歌っているのかも不明です。「人日の路上若者シャウトせり」としておきます。
〇ちいさき手くちゃくちゃにむく蜜柑かな のり子
【評】子供の手でしょうか。「ちひさき」と表記します。また、「くちゃくちゃ」の「ゃ
」は大きく書きましょう。「ちさき手でくちやくちやにむく蜜柑かな」でどうでしょう。
〇ゆず風呂にカピバラ気分若がへる のり子
【評】「カビパラ気分」か「若がへる」のどちらか一方で十分です。ただ、われわれはカビパラの気分がわかりませんので、その表情を客観写生しましょう。「カビパラの顔となりきし柚子湯かな」など。
次回は2月10日(火)の掲載となります。前日9日(月)の18時までにご投句いただけると幸いです。河原地英武