2021年に「個別避難計画」の策定が市町村に努力義務となり、そこから5年間で一通り必要な個別避難計画をつくろう!という取り組みが全国で展開されているわけですが、皆さんの周りの自力では避難が難しい方は、もうすでに個別避難計画をたてられているでしょうか?
個別避難計画と言うのは、災害発生時に避難を自力ですることが難しい人に関して、災害発生時に備えて「計画書」を作って、逃げ遅れないように行動できるようにしよう、と言うものです。もちろん、単独では避難が難しい状況に備えて、避難経路や避難先を確認するのはもちろん、避難支援者もある程度目途を立て、避難方法も検討しておくというのが、個別避難計画作成の目的です。
さて、そんな、作っていたら心強い個別避難計画ですが、法律が改正されてから、はや四年が過ぎました。実際のところ、進み具合はどうなのでしょうか。
調べてみました。
結果のまとめは、内閣府と消防庁が行っています。最新データは令和7年6月20日発表の調査結果です。
避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査結果
20250620_bousai_1.pdf
この結果によると、全国の全市町村で『避難行動要支援者名簿関係』は「作成済み」です。これに関しては、以前からほぼ全国の市町村で作成済でありました。しかし、名簿が作られているだけでは、避難につながらず、逃げ遅れ取り残され犠牲になる人がいたというのが、過去のさまざまな災害発生時の状況でした。
一方、個別避難計画に関しては、上記の結果では以下のように述べられています。
○個別避難計画を作成している団体は1,691団体、未作成の団体は前回調査(R6.4.1)141団体(8.2%)から50団体(2.9%)と約3分の1となった。
まだ未作成の市町村があるものの、その数は減っていて、全国的に個別避難計画の作成に取り組み作成が出来上がっている地域が増えているようです。ただ、実際にどれほどの規模で作成が進んでいるかを見ると、2割以下が半数以上であり、まだ必要なのに作られていない人が大勢いることが推測されます。
○作成している団体のうち、作成率注)が8割を超えたのが253団体(14.5%)、6割超~8割以下が102、団体(5.9%)、4割超~6割以下が153団体(8.8%)、2割超~4割以下が263団体(15.1%)2割以下が920団体(52.8%)となった。
○昨年1年間で個別避難計画が作成された要支援者は181,635人であり、これまでに個別避難計画が作成された要支援者は合計1,451,097人となった。
これまでに、145万人分の個別避難計画が作成されました。おそらく、そのうちのいくらかは、高齢者の方の介護度がすすんだり、障害のある方の生活状況がかわったりと、計画の見直しが必要な状態になっていると思いますが、どれほど見直されているのかは、わかりません。ひとまず、145万人に対してつくられていると言えます。
まだまだ、十分とはいえないでしょう。
個別避難計画は、災害対策基本法が作成を定めているものは、介護状態や障害があるなど一人では逃げにくい状況があり、地域住民らが支援をすることも含めて、計画を作っておくということです。しかし、『それぞれ皆に対して、状況に応じて、どの様にどこへ避難するのか』という計画や見通しをつけておくことは必要です。
まずは、あなたご自身の「避難計画」を作るとともに、まわりの親しい人にも「避難をするときに、何をどうして、どこへ向かうか」は考えて計画として備えておくべきであると、伝えてください。
個別避難計画の作成は、特定の人達に向けたものではなく、実際はみんなそれぞれに必要なものであるということを、覚えて置いていただけるとありがたいです。
