「昭和100年」にあたる今年の8月も後半になりました。6月にはこちらでも何度も取り上げていた日本学術会議法が成立してしまいました。旧の日本学術会議法は、戦前の学術会議が戦争に加担していたたことへの反省に立って作られていましたが、そういう大事な理念が書かれた前文が削除されました。そしてその上で学術会議は、実質的には政府の支配下に置かれるような状態になっていくと思われます。とはいえ、新しい日本学術会議た発足する来年10月までには時間があり、この間にも様々な節目があります。学問を政府の都合の良いように利用させないために、市民・国民としてどう監視していけばよいかについて考えるシンポジウムが、8月3日にありました。
2時間以上あるので視聴するのは大変だと思いますが、最初の登壇者の佐藤学さんが、6月の日本学術会議法変更に至る経緯をまとめています。それを見ると、短く見積もっても10年ほど前から様々な画策や下準備がなされてきた結果であることもわかります。
それくらいに手強い状況であると言えますが、このまま黙って諦めているわけにもいきません。この問題は時々取り上げていきたいと思います。
さて、法案は成立してしまいまいましたが、参議院本会議での石垣のり子議員(立憲民主党)の反対討論が、短い時間で大変鋭く問題点をまとめていたと思います。ぜひとも改めてお聞きください。
政治による学問成果の無視や歪曲はすでにあちこちで起こっています。その具体例は次の記事で取り上げることにして、今回は保坂正康さんのインタビューを紹介したいと思います。
当時の日本が中国で戦争を始め、ついには太平洋戦争へと進んでいく過程を追いかけると、そのような事態に至った理由は2つあると言います。1つは「主観的願望を客観的事実にすり替えること」で、もう1つは「暴力による支配」です。特に前者が、日本学術会議法の問題と関連が深いと思います。自分たちの欲望を押し通したり正当化したりするための「主観的願望」があり、それとは異なる客観的事実(学問研究の成果など)を無視したり歪曲したりする、さらには弾圧するということが起こります。戦争に限らず、その時の政権が実施しようとする政策に対して、「それをやるとこういう問題が出てきますよ」ということを、突き付ける学問がこれからどういう扱いを受けるようになるのか、大変心配ではありますが注意していかないといけないと思います。
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戦争に向かう時代と学問
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