7月の参院選でも目立っていましたが、野党議員やジャーナリストなど、権力に対してものを言う(権力を問いただす)役割を果たしている女性に対する攻撃が酷い状況にあるように思います。
参院選の際には、社民党副党首の大椿ゆうこさんへの殺害予告がありました。
上の動画で福島党首が話していますが、他の政党や無所属の候補者に対しても同様の事態があるとのことです。また立憲民主党の石垣議員が、事実ではないプライベート関係の噂を、選挙ポスターを通じてばらまかれるという攻撃もありました。この件に関しては、辻本清美さんが応援演説で自身の体験も含めて話していました。辻本さんの演説は、私も聞いていて涙が出そうになりました(辻本さんのスピーチはこちらの動画の開始後15分からです)。
女性ジャーナリストへの攻撃も酷いです。兵庫県知事の定例記者会見で、知事に厳しい質問をした女性記者がいます。彼女の氏名やメールアドレスを政治家がネット上に晒し、彼女の所属する会社や本人への攻撃が殺到しているとのことです。
上記の赤旗の記事を書いた記者さんが、こちらの動画で背景の説明等をしていました。
同じく兵庫県では、斎藤知事に厳しい質問をしていた産経新聞の女性記者に対して、知事に批判的な立場をとっていた議員(故人)と不適切な関係があるという、全く事実無根の噂が流されていたこともありました。この際は産経新聞社が抗議文を出しています。
「殺害予告を受けるのは女性だけではない」という指摘もありますが、頻度や程度が異なります。キャロル・ギリガンというアメリカの心理学者が、『抵抗への参加』という本の中で、「女性への差別感情に基づく暴力も、(有色人種への暴力と同様に)ヘイトクライムと認識すべきだ」と述べています。様々な形での暴力が女性たちを傷つけるのは当然ですが、「大したことないでしょう」、「考えすぎでしょう」と事実を矮小化して受け止められることも大きなダメージです。
女性も含めて、マイノリティは暴力のターゲットになりやすいのは事実です。そしてだからこそ、「おかしいことはおかしい」と連帯して声を上げる必要があるのだと思います。
ちなみに、日本経済新聞の7月29日のコラム「春秋」が秀逸でした。今回の選挙について、土井たか子さんがご存命ならどう思われたか…と推考しています。会員限定記事なので冒頭しか読めませんが、気になった方は、ぜひお近くの図書館でお読みください。
なお、この春秋で引用している与謝野晶子の詩はこちらで全文が読めます。
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