7月30日の津波警報や津波注意報の発令がありました。皆さんはどのような行動をされましたか?その時に場所により、採るべき行動は異なっていたはずです。自分が海のそばや河口付近にいるのか、どれぐらいの標高があるところにいるのか、どっちが海とは逆の方角なのか、など、「にげろ」と言われても考えるべきことは多かったと思います。
私はスマホの警報音が鳴ったとき、研修が始まったばかりのタイミングで、大きな会館の3階で話を聞いていました。一斉に警報音がなったことに驚きましたが、ひとまず、その場所が海からは距離がある場所であったため避難をすることはなく、そのまま研修が続きました。警報音がなって津波が来るという文字が目に入ってきましたが、体感できる地震がなかったことから、余計に危機感や現実のものであるという感覚が乏しかったのかもしれません。研修中にこっそりスマホで確認をして、カムチャッカ半島方面でかなり大きな地震があった、ということだけは把握できました。
その日の夕方、私が保佐人を務める利用者さん宅へ訪問に行きました。新聞を購読し、テレビはニュースやワイドショーをよく見ていらっしゃることは知っていたので、今回の訪問時もニュース番組がついていて、画面上には大きく避難誘導と交通情報が流れていました。私から「今日は朝から、大変な日ですね」と利用者さんに世間話を始めましたが、なぜかイマイチ話が通じない感じでした。もしかして…と思い、今日の出来事について何か聞いたかどうかを尋ねました。地震や津波というキーワードが出なかったので、テレビを指さして「これって、なんの話がずっと流れてるんですかね?」と聞いてみると、テレビ画面を少し眺めた後、『道が混んでるみたいやね』と話されました。たしかに、その瞬間には鉄道や高速道路の交通規制について文字が流れていたので、間違えてはいないのですが、それでもやはり、あの日の夜の話題として地震や津波に関連することが出てこないのは、不思議です。そこで、朝から津波が来るから避難を呼びかけられていたこと、日本の上の方にある外国でとても大きな地震があったこと、それが朝からずっと文字で出ているのだというのを説明しました。今初めて聞いた、というような反応を示されました。
私は話をしながら、もし避難をしなければならない地域であったら、取り残されていた可能性があるな、とヒヤッとしました。日ごろ、通所の事業所へ通い、ご近所付き合いもあるので、事業所内や近所の話題には事欠きません。情報通なほうだとおもいます。しかし、あの日一日、誰もご本人に対して、災害のことを話題にしなかったようです。私としては、てっきり「怖いね、ここも津波がくるんだったら、逃げないといけないね」とか「建物が鉄筋で高層だし、河口から遠いから下手に動かないほうがいいよ」とか、何らかの自身の話題と身を護る世間話はしているだろうと思っていました。しかし、完全にその予想は外れていたようです。
その日は、住居の位置と建物の強度や高さから、何の時にどうすればいいか、逃げるならどこへ逃げるのか、場所は知っているか、などの話をしました。「わかる、知ってる」という答えが大半でしたが、一度避難場所まで歩いて道を確認してみないといけないな、というのと、これからの台風シーズンでは何に気を付けて生活すべきかを、もう一度話をしなければならないと思いました。また、本人だけでなく、入れ替わり訪問している各種のサービス事業者にも、災害時や非常時の対応については共有しておきたいところです。
皆さんの周りの方たちは、遠いところで地震が起こり、津波が日本にも来たということを、皆さんご存じだったでしょうか。ニュースは適切に正しく届いていたでしょうか。必要な理解や判断が出来ていたでしょうか。これから、暑い中、台風到来の可能性は高まります。その分、避難する機会も増えるでしょう。早めの判断が安全に逃げ切ることにつながります。そのためには、早めに情報をキャッチして惑わされずに判断をすることが必要です。
万が一の時の行動を、今一度確認してみてください。また、暑い夏で、電力供給は必須ですが、万が一、急に停電した時に何をどうすべきかも考えておきましょう。
穏やかな8月になりますように。
