元気なうちは多少の段差があった方が足が鍛えられるので、家のバリアフリーは必要になった時にすれば良いという意見もありますが、どう思いますか?
住宅改修をする機会があれば、その時にバリアフリーにするのが良いと思います。うちは10数年前にリフォームした時にほぼバリアフリーにしたのですが、便利だなぁと実感します。年を取って来ると、ちょっとした段差に躓くことがあります。その「ちょっとした段差」があった方が足をあげる練習になるとは思えません。一番躓きやすいのは、自分の老いをまだ実感していない時です。自分はまだまだ若いと思っているけれど、実際には体としては年を取っていて、筋力も衰えている人などが足が上がりにくくて、ちょっとした段差に躓くことが多いのです。統計で調べたことがあるのですが、事故というのは圧倒的に家の中で起こっています。人が亡くなっているのも家の中が多いんです。それは階段からの転落も大きいですし、ケガの要因としては、やはり躓きが多く、躓きが多いのに、段差があっても良いとは私は思えません。躓いて転倒し、大腿骨等を骨折した為に慌ててバリアフリーに改修するのは大変ですし、本人も痛い思いをして辛いです。
車椅子を使える様にする為にバリアフリーにするのが良いのではなく、家の中で事故に遭わない様に、躓いたりしない様にバリアフリーにするのだと考えましょう。段差がなければ、ロボット掃除機を動かすのも便利ですし、掃除機を使う時もコードが長ければ本体をあげなくても付いて来ます。キャスターが付いているものは何でもバリアフリーの方がスムーズに動いてくれるので、日常生活上も便利です。ですから、まだまだ元気でも新築、改築のタイミングでバリアフリーにしておくことをおススメします。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄や介護に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。