憲法にどんなことが書いてあるか知ることから始めようと企画した「日本国憲法」の朗読第5弾は、京都法律事務所 弁護士の小笠原伸児さん監修による5回シリーズです。初回は第三章 国民の権利及び義務から個人の尊重と公共の福祉を謳った第13条を新たな編集でお届けします。何度でも繰り返して確認しておきたい条文です。朗読はフリーアナウンサーの塩見祐子さん、イラストはかしわぎまきこさん、動画の再生時間は39秒です。
私が日本国憲法を大事にしたいと思っている最大の理由は、憲法が基本的人権の尊重を目的としているからです。私も含めて一人ひとりの自由権とか平等権とか社会権とか参政権とかを最大限に尊重しなさいと、国の権力者に命令しているからです。そして、人類の歴史の発展の中で引き継がれ、できてきた今の憲法は現代憲法と呼ばれていて、豊富な人権の保障規定をおいています。
人権保障という目的を達成する方法として、憲法は、国民主権や権力分立、法の支配を採用するだけではなくて、前文の平和的生存権や第9条の平和主義を採用していて、世界の現代憲法の中でも極めて優れた憲法であると評価されています。
こうした憲法の規定の中で私が最も大切だと思う条文が第13条です。自由とか平等とか多様な内容を含む人権の根幹にあるのが個人の尊重であり、生命、自由及び幸福追求に対する権利だと考えるからです。
「すずと、小鳥と、そしてわたし、みんなちがって、みんないい」という金子みすゞさんの詩が大好きです。あなたと、お前と、君と、私と、みんな違っているのが当たり前、違っていてもみんな同じように大切なんだ、それが第13条にいう個人の尊重だと思います。
えてして権力者は、私たちを同じ色に染めようとする傾向にあります。私たちも、その傾向に流されそうになってしまう時があります。でも、その時に第13条を思い出して立ち止まって考えてみようではありませんか。本当にそれで一人ひとりが大切にされる社会になるのだろうかと。誰かをひどい目にあわせることになりはしないだろうかと。
一人ひとりが自由に、豊かに、自分らしく生きていこうとするとき、それを支え、助け合う人と人とのつながりをつくり、地域、社会が貢献するようなこの国のあり方をつくっていきませんか。それが憲法第13条のめざす社会の姿だと思います。
※次回は5月18日(日)に第41条・第98条第1項・第99条を公開予定です。