毎年、1,2,3月が過ぎてゆく速さにはびっくりしますが、今年も同様です。そして、この時期は日々の気温差が大きく、油断をすると体調を崩しやすい時期です。慌ただしい年度末ですが、ほっと一息つく時間も持っていきたいものです。
さて、来週の火曜日は3月11日ですが、2011年に東日本大震災が発生した日です。あれから14年が経ちました。ある程度大人になってから経験すると、日々の時間が過ぎる速さの為か、過ぎて行った日々があっという間に感じて、まだほんの最近のように思うのですが、当時生まれた子どもたちが中学生になっていることに驚きです。
阪神淡路大震災からは今年で30年が経ちましたが、当時生まれた子どもたちもすっかり大人になり、あの地震を知らない大人が年々増えてきました。もし、もう二度と地震が起こらないのであれば、あの経験を知らないということは良いことなのかもしれません。しかし、大きな地震は今後も発生し、おそらく近いうちに南海トラフ地震と呼ばれる大地震が発生する可能性も高いようですから、地震を知らない人が増えるということは、避難や備えの大切さについて身をもって知る経験がなく、心配なことではあります。
『天災は忘れた頃にやってくる』という有名な言葉は物理学者の寺田寅彦氏(1878-1935)が講演で話した言葉だそうです。寺田寅彦氏は関東大震災を経験し調査し、定期的に訪れる地震への備えの必要性を説いていました。しかし、現実は、いずれまた来る地震であるのに、それに備えず被災してしまう人がいる状態でした。特に、数十年周期で来る地震では、前回の地震からほぼ回復し、そのことを知らない人が増えてきた状態になると、また起こることになります。人は記憶したり、記録したり、言い伝えたり、書き残したりできますが、それを知り、備えの行動を起こす動機になるほどに強く伝え続けることは、難しいようです。
今また、私たちの暮らしは、お米の値段が妙に高かったり、ガソリンも、卵も、リンゴも、乳製品も、ポテトチップスも、何もかもが妙に高くなっていたりで、今後の暮らしも心配です。高額療養費がどうなるのか、これからの高齢者介護はどうなるのか、これからの子育てや少子化対策はどうなるのかと、今の普段の生活を維持するだけでも気がかりなことが多いものです。そこに加えて、来るかどうかわからないものに備えよ!と言われても、気持ちは動きにくい気がします。
しかし、私たちが言葉を持ち、記録する道具を持ち、それらを活用して昔の人が伝えてくれたことの意味や思いを、今一度考えてみましょう。『天災は忘れた頃にやってくる』という言葉が誰が言い出した言葉かは知らなくても、その言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。100年近い前の言葉が、今も多くの人の記憶の中にあるということは、知って備えが必要だということを、それを伝え続けた多くの人が強く持っていたからこそだと思います。
私たちに出来ることは、自分の備えを少しでも多くやっておくこと、そして、経験したこと、経験者から聞いたことや書籍や動画などから知った災害の恐ろしさと備えの必要性を伝えることです。災害は地震だけではありません。洪水、津波、高潮、防風、大雨、地すべり、噴火、積雪、そして、大規模な火事も災害になり得るでしょう。私たちの生活を脅かそうとする猛威から逃れることを、日々の暮らしの中で少しずつ考え、取り組んでいきましょう。
