今年は元旦から地震があり、夏も台風や地震や洪水があり、暑さも厳しく、年々自然の力が大きくなって生活を脅かすように感じるのですが、今の時期は秋らしくなり、外を歩くのも心地よいものです。自然が人間の暮らしに穏やかだと、安心していられるものです。
ところで、以前から避難の準備をしましょう!と繰り返してお伝えしています。いざという時には、いくらかでも備えているモノがあるほうが安心です。
とはいえ、私たちは常に災害が起こったときのことだけを考えて暮らせるわけではありません。日々の生活には、それはそれで、いろんな課題や問題やトラブルが起こります。大きな問題が無くても、毎日、「今日は何を食べようか」など考えることはいくらでもあります。毎日、たくさんの何かを決定し、必要に応じて行動して暮らしている中で、防災もその中の一つの行動にしていただきたいと思います。
今年も残すところあと2カ月半。来年は2025年。高齢者福祉に携わる者にとっては、ずっと前から言われている「2025年は団塊の世代が全員75歳に達し、後期高齢者になり…」という、その2025年がやってきます。 日本では少子化対策がいろいろ進められていますが、残念ながら少子化は止まらず、人口は2011年以降減り続けています。そして高齢化率は上昇しています。また平均寿命はまだもう少し延びる見込みで、より一層高齢化が進んでいくと推測されます。
あなたの周りの人の避難への備えは進んでいるでしょうか?後期高齢者と呼ばれる年齢になる人の中にも、心身ともに元気で、体力的には現役世代と変わらないか、むしろもっと元気な方も多いと思います。まずは自分が逃げたり身を守るための備えをし、そして、友達やご近所さんにも備えの確認をしていただきたいと思います。中には、介護保険サービスを使い始めていたり、体力に自信がなくなってきた友人知人がいらっしゃる場合があるでしょう。災害時の避難をはじめ、何かをするときのきっかけは、友人知人の声掛けである場合は多いものです。「あなたがやっているなら、私も」と思うことが、将来、自然災害などが起こったときに身を護ることにつながるかもしれません。
また、もしも親族や友人知人に成年後見制度を利用されている方がいらっしゃったら、是非、ご本人の個別避難計画を作り、避難支援を得る計画を作るとともに、後見人等が被災した際にどうすべきかを話し合う機会を持っていただきたいと思います。広域に洪水や地震が発生すると、しばらくはヘルパーやデイサービスなどの介護サービスが利用できなくなる恐れがありますが、同様に、後見人等も即座に駆け付けて支援することは難しいと思います。また、後見人等が被災する可能性もあり得ます。介護サービスを提供する事業者の場合は、A社が利用不可になった場合はB社に契約を変更するなど、動ける事業者があればある程度は臨機応変に利用可能ですが、後見人等の場合は他の人が即座に入れ替わって同じことをするのは、難しいでしょう。特に在宅にいらっしゃる方の場合、ご本人と後見人等がそれぞれ会えなくなったときにどうするかを事前に想定して考えておくことは大切です。当然、ご本人は判断力が低下されている状況だと思うので、身内の方や、他のサービス事業者やケアマネジャーさんともよく話あっておくべきでしょう。
残念ながら、介護保険サービスを始め、福祉関係の多くの制度は、災害発生時を想定されずに作られ使われてきました。成年後見制度も、災害が発生し、後見人等が活動できなくなった時のことが想定しきれていません。過剰に心配し、「そんなことなら、制度を使わないほうがいい」というのは、日々の生活に不便が生じるので短絡的に考えてはいけないと思いますが、万が一のことはいろんな角度から考えておくべきでしょう。
いろんな制度やサービスは、日々の暮らしを支えるために、必要なものは必要に応じて使いましょう。そして、災害はあるの日常の中に起こるかもしれない出来事です。私たちが日々の暮らしを大切にし、またいざという時にも対応するために今できる事は、「そうなったら、どうすべきか」を事前に考え、話し合い、理解し合い、用意するものは用意をし始めることです。
雨の日も、嵐の日も、それぞれが身を守れるように、備えていきましょう。そして、もし物時はどうすべきかを、話し合っておきましょう。