前回は自立の人向けのベッドにつける手すりを紹介しました。手すりがあるとベッドからの立ち上がりが楽になります。ただ手すりだけでなく、ベッドの高さも立ち上がりに影響を与えます。
ベッドの横から足を下ろして座った姿勢(ベッド端座位)から立ち上がりますが、立つ動作はその人の身体機能によるため、ベッドは高さがとても重要です。ベッドが低いと身体の重心も低くなるため、立ち上がりにくい人が結構おられます。座ることを大事にしたいときは、膝から下の長さ(足裏全体が床に着く高さ)が基準になります。筋力が弱くてその高さでは立ちにくいという場合は、かかとが少し浮くくらいの方が重心の位置が高くなるため立ちやすくなります。そのような時には立ち上がるときはベッドの高さを少し上げればいいのです。
ではベッドはどれくらいの高さに設定しておけばいいのでしょうか。ベッドが低いと立ち上がりにくいけれど、高すぎても転落したら怖いですね。その方の足の長さにもよりますが、マットレスを含めておおむね40センチから45センチくらいが良いと言われています。マットレスは厚みがありますから、新しく購入する時はベッドそのものの高さだけでなく、マットレスも含めた高さで考える必要があります。エッジ(マットレスの角)がしっかりしていないと、端座位が安定せず、お尻が前にずってしまうので注意が必要です。お店で商品を試す時はマットレスのある状態で座り心地を比べてみて下さい。何よりベッドの高さは介護者の負担にもかかわりますから、介護をするときには腰を曲げなくて済むくらいの高さにしましょう。介護ベッドの良い点は、リモコンで簡単に高さが変えられることです。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄や介護に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。