Weekend Review~「ひと呼んでミツコ」

前回の「空に住む飛行機」と同じ著者の作品です。空に住む…より先に出版されています。
京都府丹波から上京してきたまじめな主人公・ミツコ。京都府丹波町という具体的な表記がおもしろいのと、同じく京都に住み暮らす私にぴたっときました。私立の薔薇十字女子大学英文科に入学し、そこで女子大生として過ごしているのですが、彼女、なんと不思議なパワーを持っているのです。ちょっとここがオカルトちっくでありえない設定なので、うん?と思うところですが、そのパワーを発揮する場面は痛快で笑えます。
先にご紹介した空に住む…はかなりシュールな内容でしたが、こちらも読みようによってはかなりシュール、というかミステリアス。絶対、そんなことはないという事象が起きて、でもそれが勧善懲悪的にすっきりするので読み心地がとてもいい。ミツコのまじめでやさしい性格を利用して悪事?を働くヤツらどもが、ミツコのパワーでばっさりと制裁が下されるのです。
例えるなら、水戸黄門のようなすっきり感を7つの章で読感させてもらいました、みたいなところです。ただ、その制裁がちょっとぶっ飛んでいるというだけ。
この小説には多くの注釈(※)が多用されているのも特徴的で、その注釈の表現がまた姫野カオルコらしい感性で展開されています。
ところで、私は勧善懲悪が大好きです。水戸黄門は見ませんが、あのスタイルの展開はとても安心して見ていられるので大好きです(二度書いた)。一時、よく流行った2時間サスペンスドラマは私の神的存在でした。2時間じっと見ていたら、ほぼ解決して、悪者は捕まるか、悪事をバラされて、シュルシュルと引っ込んでいき、人の好い主人公たちが最後はのびのびと背筋を伸ばして終わる。なんてすっきりしたわかりやすい展開でしょうか。連続物のドラマなどはずーーっと3か月ぐらい我慢していないとすっきりできないところ(時には不完全燃焼みたいに終わることもあるし)、2時間ドラマはとにかく素早く「けり」をつけてくれます。性格的に私はイラチ(せっかち)ではありませんが待つことが、2時間ドラマとか、1話ごとに完結してケリをつけてくれるパターンは好きです。
そもそも、悪いことをしたら天罰を食らう。このように育てられてきたので、私はいまだに足の小指を強くぶつけて息が止まる、という目に遭うと、一瞬にして『あれ? なんか悪さをしただろうか…』と思いめぐらす癖が今だ抜けていません。このあたり、小学生のままです。でも必ず自分がなにかをした、という視点と姿勢が、我ながらバカほど泣けるなあと思います。
実は先日、ある和菓子屋(京都)で軽性犯罪にあたるのではないかという目に遭いました。詳細はもちろん書けないのですが、あの和菓子屋のじいさんのやらかしたこと、あれは絶対にミツコがいたら、鉄槌を下すはず。“人が好い”という私と友人の好意を完全に利用し、己の汚れきった欲望を満たすことにだましてとったあの行為、絶対に許すもんかと思いつつ、具体的なその鉄槌の策を練ってはいる次第です。私の嫌う、不完全燃焼で終わる今回のレビューです。(ふるさとかえる)


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