大学内の「言論の自由」すら危機的状況

GW前半の4月29日に「『稼げる大学はどこへ行く? アカデミックキャピタリズム再考」というシンポジウムに参加しました。シンポジウムの内容自体は、東京新聞がまとめて記事にしています。


「稼げる大学」と呼ばれる国際卓越研究大学院制度や昨年末の国立大学法人法改正の危険性については、カナリア倶楽部でも何度か執筆していますが、大学の最高意思決定機関として設置しなければならなくなった運営方針会議の学外委員に拒否権を持たせるなど、一段と危険性が高まっています。


さてそのこともさることながら、29日のシンポジウムの開会挨拶で、衝撃的な話が2つありました。1つは、このシンポジウムの開催に東京大学が待ったをかけてきたという話です。


当日参加できない人のための録画とその公開にも、強い制限がかけられていたようです。「政策に影響を与えるシンポジウムを開催してはならない」なんて、大学としてあり得ない話です。
もう1つ、筑波大学で学生が実施していた「本を読むデモ」というものがあります。パレスチナ問題についての本を並べて、道行く人に「パレスチナについて知ってほしい、本を読みましょう」と呼びかける、いたって平和的なデモです。


これもまた、筑波大学から禁止されたというのですから驚きです。
29日のシンポジウムも、学生の本読みデモも、特定の政党や政権を批判することを目的にしているのではなく、「日本の大学制度改革がどのようになっているかを知ろう」「パレスチナの歴史や現在を知ろう」という営みです。(大学以外の場所でやっても構いませんが)大学という場所で実施するのに、とても相応しい活動だと思います。そんなことでも、「政策に影響を与えるから」「政治的だから」という意味不明の理由をつけて禁止したり妨害したりすることがまかり通るということは、大学という言論・表現の自由が最も重視されないといけない場所ですら、言論の自由がなくなりつつあるということを意味していると思います。
———————–
西垣順子<大阪公立大学 高等教育研究開発センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など


Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 21

Warning: Use of undefined constant php - assumed 'php' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/canaria-club/www/wp-content/themes/mh-magazine-lite/content-single.php on line 30