GW前半の4月29日に「『稼げる大学はどこへ行く? アカデミックキャピタリズム再考」というシンポジウムに参加しました。シンポジウムの内容自体は、東京新聞がまとめて記事にしています。
個人が好きな研究する自由はすべての市民の当然の権利。
あえて「学問の自由」というのは、職業的な研究者が雇用主や寄付者の意向に拘束されて研究成果を歪めるのを防ぐため。
たとえば寄付してくれた企業の製品の箔付けのための研究が学問の自由を葬り、研究の裾野を削る。 https://t.co/0q29HrY4yz— Komagome Takeshi (@KomagomeT) May 1, 2024
「稼げる大学」と呼ばれる国際卓越研究大学院制度や昨年末の国立大学法人法改正の危険性については、カナリア倶楽部でも何度か執筆していますが、大学の最高意思決定機関として設置しなければならなくなった運営方針会議の学外委員に拒否権を持たせるなど、一段と危険性が高まっています。
大学横断ネットの声明発出に合せて、東京新聞特報面に解説記事。わかりやすいです!
駒込武さんが卓越大の運営方針会議の学外委員に対する「拒否権」付与計画の問題を詳説。
石原は大学自治掘り崩しと研究資金偏在化の流れを解説し、今回の問題はその究極形だと指摘しましたhttps://t.co/LbfBrf3OEl— 石原 俊/ISHIHARA Shun (@ishihara_shun) April 26, 2024
さてそのこともさることながら、29日のシンポジウムの開会挨拶で、衝撃的な話が2つありました。1つは、このシンポジウムの開催に東京大学が待ったをかけてきたという話です。
「稼げる大学」はどこへ行く?シンポジウムに参加。冒頭、指宿弁護士から「東大の部局から『政策に影響を与えるシンポを学内で行うことは困る』と言われた。大学の自治に対して著しい侵害」という話も。国立大学ここまで来ている…。全国の大学から報告された現場の実態に、さらに危機感。報道もっと。 https://t.co/jI8Qp3KoA6
— 朝岡晶子 (@asaoka_akiko) April 29, 2024
当日参加できない人のための録画とその公開にも、強い制限がかけられていたようです。「政策に影響を与えるシンポジウムを開催してはならない」なんて、大学としてあり得ない話です。
もう1つ、筑波大学で学生が実施していた「本を読むデモ」というものがあります。パレスチナ問題についての本を並べて、道行く人に「パレスチナについて知ってほしい、本を読みましょう」と呼びかける、いたって平和的なデモです。
路上から対抗 筑波大生「本を読むデモ」でパレスチナと連帯
〈ガザでは日々死傷者数が増えている中で欧米諸国がイスラエル支援に立っている。マイノリティーの側に立つことが、自分が学んできた人文学だと考える〉 https://t.co/rebPve8aK4
— 明石書店 (@akashishoten) March 24, 2024
これもまた、筑波大学から禁止されたというのですから驚きです。
29日のシンポジウムも、学生の本読みデモも、特定の政党や政権を批判することを目的にしているのではなく、「日本の大学制度改革がどのようになっているかを知ろう」「パレスチナの歴史や現在を知ろう」という営みです。(大学以外の場所でやっても構いませんが)大学という場所で実施するのに、とても相応しい活動だと思います。そんなことでも、「政策に影響を与えるから」「政治的だから」という意味不明の理由をつけて禁止したり妨害したりすることがまかり通るということは、大学という言論・表現の自由が最も重視されないといけない場所ですら、言論の自由がなくなりつつあるということを意味していると思います。
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