今年の春の野菜作りは、なかなか上手くいかなかった。土づくりのために入れた有機物が虫の発生を誘発したり、生育途中の野菜が肥え切れを起こしたり、後に蒔いた野菜が先に蒔いた野菜の生育を追い越してしまったりと失敗続きだった。暖かい冬と寒暖の差が激しく雨の多かった初春と天候の影響が、大きかったものの反省点もある。廃菌床を土づくりに安易な方法で使ってしまった事。冬の気温が高かったため生育が早いと思い追肥をしなかった事だ。どちらも手間を惜しんだ事に起因する。昨今の様々な情勢を考えて手間を省く事も必要だと考えていた。否応なく耳に入って来る「農業の生産性の向上」と言う言葉の影響も有った。慣行農法なら殺虫剤や化学肥料を使うことで省力的に防げた事案かもしれないが、有機農業では禁じ手だ。掛け替え無くも容赦のない無為自然と成長に歯止めが掛からない人間社会の間をどの様に取り持てば良いのだろう。悩みは、尽きないが興味深いことも分かった。収穫時に肥料の切れかかった野菜の方が個性的で美味しいような気がする。花芽を支える軸の部分は、アスパラの様だし、ほうれん草は株もとの赤色が鮮やかで緑の葉とのコントラストが、美しい。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。