昨日のニュースでは、昨年1年間の名目GDPは3位から、ドイツに抜かれて4位になったと報じられました。過去の経過をたどると、1968年に当時の西ドイツを上回って世界2位になり、その後2010年に中国に抜かれて3位に。その後、3位はキープしていたものの、日本と中国の差は大きく開いてきていました。国際社会や日本国内での経済的な影響は、経済の専門家の意見を参考にするとしても、振り返ると、1968年当時から今に至るまで、日本社会は大きな変化があったものだと思います。
私は社会福祉士なので、社会福祉にまつわる仕事をしていますが、そもそも社会福祉士という国家資格ができたのは1980年代後半。最近では学校に配置されるスクールソーシャルワーカーという仕事がありますが、この「カナリア倶楽部」をご覧の多くの方が小学生中学生のころは、学校に教員以外の職員と言えば、事務員さんと用務員さん、給食担当の職員さんが思い浮かぶ程度で、スクールソーシャルワーカーどころか、スクールカウンセラーも居なかったのではないでしょうか。それが今では、カウンセラーが配置され、ソーシャルワーカーが配置され、スクールロイヤー(学校にいる法律専門職)も配置され始めている状況です。子どもをとりまく環境は、日本の社会の変化とともにいろいろと大きく変わり、その影響が学校の職員体制の変化に現れているのだと考えられます。
子どもに関する人権や養育・教育の意識は、こども家庭庁の開設もあり、またその背景に少子化に対する早急な対応が必要という事情もあり、1970年頃から今に至るまでを振り返ると、大きく変わっています。
1970年代を若者として過ごした人は、今は高齢者になり、後期高齢に差し掛かっている時期でしょう。その方たちの子どもの世代は、私と同世代です。学校を思い出すと、私は山間部の小学校に通っていたのでかなりのんびりした校風でしたが、それでも今の基準で考えると「ありえない」が多発していました。今でいう体罰が許容されていましたし、学校に行くのが当たり前、先生の言うことは聞くのが当たり前だという考えが多かった時代です。その世代の子は、今は社会人になっていたり、義務教育を受けている世代だったり。女性の社会進出や、結婚と出産の時期の幅が大きくなったこともあり、私の同級生や友人知人の子どもの年齢も幅広いですが、今の時代では教育現場での体罰が問題になり、子どもの権利条約が採択され、日本も批准し、育ちや学びの多様性や、人生にまつわる選択の多様性に目を向けられるようになっています。
そんな状況ですから、小さなころに体験を通じて学んだことが、今の時代には通じないということも多々あります。
どの時代が良かった、ということは言えません。「今の若いもんは・・・」と言いたくなる気持ちは、おそらくどの世代でも感じることがあるのかもしれませんが、それはフェアに比較して結論が出せるものでもありません。
ただ言えることは、世界との関係や、その中での経済的な状況の変化が私たちの暮らしへ大きな影響を及ぼすと同時に、この数十年間で情報通信や技術の進化や普及は超高速に私たちの社会の在り方を変え、人と人の繋がり方も変わり、暮らしぶりも変わってきた、という現状に関する事実です。
「あのころは良かった」と思う気持ちを抱きつつ、今ある現実と、これから始まる未来の社会で、私たちがどのように暮らし、どのように互いに協力し合いながら、どのような社会を作っていくのか、変化にフィットする柔軟さを頑張って身に着けて行かなければならないのかもしれません。
将来の見通しについて、特に経済や少子化の話題になると明るいものを見出しにくいのですが、いくらかは気楽に構えつつ、人の暮らしの福祉の増進について取り組んでいきたいものだなぁ、と、GDPの変化を確認しながら過去と将来をおもいえがく今日この頃です。