高齢者や障害者、難民、生活保護受給者はコスパが悪い???

ある新刊本を紹介するtweetに「私たちのアイデンティティが、〈労働者〉としてのそれから〈消費者〉のそれへと移り変わってきたことは多くの論者が指摘してきました」と書かれていました。社会学の世界では知られたことなのかも知れませんが、私は初めて知り、なるほどそうだなと思いました。(この本は未読です)

バブル期に高くても質の良いものを買った経験から、今も消費の質は出来るだけ下げたくない。「安かろう悪かろう」でなく、安くてもコストパフォーマンスの良いものを消費者は求める様になりました。そして世の中も業績が悪化した企業のコストカット策として人員削減を進めました。安い給料でもコスパ良く働く人が求められる。菅さんに鋭い質問をして激怒させ「クローズアップ現代」を降板した国谷裕子さんがそのことを指摘しています。

コスパの悪いものは排除する「身を切る改革」を進める維新が躍進したのも然り。大阪では街路樹は伐採され、学校や病院を減らし、交番も減らすんだとか。橋下元大阪府知事時代に文楽の補助金をカットしようとするなど伝統や文化も無駄と考える様ですね。

医療や福祉にお金がかかる高齢者や障害者はコスパが悪い、公園を占拠するホームレスもコスパが悪い、移民や難民を受け入れると負担が増えるからコスパが悪い・・・。

維新は安倍さんを党首に迎えるつもりだったそうですし、維新は菅さんとつながりが深いと言われます。維新やアベスガ的、あるいはネオリベ的な政治を支持するのは色んな人がいて、何となく支持している人も少なくないとは思いますが、岩盤支持層はIT関連企業等に勤め、タワマンに住む様な比較的若いアッパーミドルと言われます。ホリエモンみたいなイメージでしょうか。そうした子育て世代の環境が良くなったという大阪在住者の声も実際聞きます。

仕事熱心で競争を勝ち抜いたアッパーミドル層にとって生活保護受給者は楽をしている様に思え、切り捨てるだけでなく罵倒したい存在の様です。あるいは生活保護の方が自分の給料より高く「あいつらずるい」になる層もある様です。「巨人の星」みたいなスポ根漫画が人気だった私(60年代生まれ)の子供時代と違って、若い世代はチームワークで勝利する漫画を読んで育ち、優しく仲間思いだというイメージがあったので、最初は彼らの冷淡さが不思議でした。でも、わかりました。仲間には優しい彼らにとって、高齢者や障害者、外国人などは「仲間」ではないんですね。そしてそうした負の感情を煽って対立を深めている政治家もいる様です。

差別心や弱者を罵倒してストレス発散したい負の感情は誰にでもあるとの指摘。多様性と言いながら、コスパの悪いものを抱える余力がなくなり、排除を正当化しつつある日本。さて、我々はどうしますかね・・・。(モモ母)


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