私は、畑を所有しそこで野菜を育て生計を立てている。でもそれは、人間だけの理屈で本当は、長い長い年月のうち自分が生きている間ほんの一瞬地球から借りているだけ。自然のままだったとすれば、そこには草木が生い茂り動物や昆虫が生活していたはずだ。と思って謙虚に野菜作りをしている。ほかの生き物にも多少は野菜をあげてもいいと。それが、無農薬で野菜を栽培する上での秘訣だと考えている。しかし、「そんな呑気な事言っていていいのか、綺麗ごとじゃないのか」ともう一人の自分が囁く。実は、何とか我慢できる程度に収まっていた害虫の食害が、頻発するようになっている。理由は、分からない。「農薬を使わないから当たり前だ」と一刀両断されそうな事だが、自分なりの答えを導きだそうと苦しんでいる。特別栽培と称し少量の農薬を使うことで素晴らしく美しい野菜に育つ事は、目に見えている。農家の選択としてその方が正しいのではないかと思う事もある。しかし、まだ妥協するつもりはない。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。