畑の近所に若い人が菌床でキノコ栽培を始められた。その菌床の一部に珈琲の搾りかすを使用されている。それを畑に投入するのだからコーヒー豆の再使用の再使用という事になる。とことん使って土に還る。カスのカスを土に返してもあまり意味はなさそうだがそうでもない様だ。菌床の材料の木材やコーヒーかすは、そのまま土に入れてもなかなか分解しないがキノコがそれを分解し腐植として土になる。目に見えるキノコの部分と言うのは氷山の一角で、菌床の中にはキノコの本体とも言うべき菌糸が大量に残され、それらが土の中の微生物の餌に成ったり野菜の栄養に成ったりする。畑の耕土と言うのは、15㎝程度しかない。野菜を作り続けていると土の中の栄養状態や微生物層も偏りがちになる。今年の夏は、一部の畑で根こぶ病が発生し収穫量が落ちた。畑の中に一度侵入した微生物やウイルスを無くしてしまう事は、人の体同様薬をせずには難しい。発病しない程度に密度を下げる為土の中の様々なものの多様性をバランスよく保ちたい。その為にキノコの菌床が役に立つのではないかと思っている。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。