「専門書ではない憲法本の中で群を抜いて記述が正確」「大学の法学部で学ぶ基本的な知識はしっかり身に付く」という國本依伸弁護士のtweetを見て、取り寄せてみました。ドラえもんの漫画を挿入しながら、「希求=強く願い求めること」「国務=国の政治についての仕事」など、条文の言葉もわかりやすく解説されていて、なるほど基本的なことがよく理解出来ます。さすが小学館という感じ。
導入のカラーページでは「憲法は何のためにあるの?」と怪獣リヴァイアサンで表現された国家権力という怪物のイラストと共に人権が認められなかった頃の様子、国家権力を制限して人権を守る為の憲法が生まれたこと、大日本帝国憲法の成立から戦争への道、日本国憲法の成立と復興、憲法で守られた国民の権利ながどが解説されています。本章でもイギリスで1215年に制定された最初の憲法「マグナカルタ」、フランスからアメリカを経て日本国憲法に受け継がれた人権思想など、世界史の授業で習ったけれど忘れていたり、当時は社会の中でどう活かされているかあまり考えてなかったなぁと思い返したり。大人になってから読むと得られることが多く、読んで良かったと思います。今はあるのが当たり前の様に思う人権も、先人達が長い歴史を経て獲得したもの。権力者は監視しないと、すぐに国民に牙をむくことを再認識しました。「理想で国は守れない、平和ボケだ」と言うのをよく聞きますが、国家は常に国民の為を思っている、私達の為にうまくやってくれると考えて油断している方が平和ボケでしょう。
自分に反対する者、邪魔な者を消す「どくさいスイッチ」を持ったのび太が、ついカッとなって気に入らない人を次々消していくと住み心地の良い世界になるかと思いきや、ゲームは相手がいないと遊べないし、停電になっても直してくれる人もいない。いろんな人がいて、まわりがうるさいってことは楽しいねと気付くのび太君。「おこのみ建国用品いろいろ」ではのび太国を作って外国人になったのび太が、日本の学校に行かなくても良いし、好きな法律を作って快適になるかと思ったら、ジャイアンが亡命してきて乗っ取られたり。漫画だけど結構怖い。この本を子供と一緒に読んで憲法や社会のしくみについて話すきっかけにしたり、大人の視点で学びなおしたりする良い教科書になりそうです。ちなみに「内閣と行政」で国会は内閣不信任案をつきつけることが出来る。その場合、内閣は責任をとって全員やめるか、衆議院を解散して選挙をやり直さなければならないと解説されてたけど、内閣不信任案が可決された訳でもないのに、自分の都合で衆議院を解散した総理大臣がいましたよね。あれってルール違反なんじゃないでしょうか。(モモ母)