1800km完歩!北海道で自衛隊に勤務していた若者が農業を志し徒歩で帰京。そんな見出しの地元紙を見た人が、親戚の叔母を通じて海藻を利用したユニークな農法があるから是非紹介したいと話があった。手さぐりで土作りを進めていたので何か良い方法は無いかと話を聞くことにした。その農法は、ノルウエー産の海藻粉末を畑に施すことが特徴だった。土作りを進め出来るだけ早く農薬の使用を減らし、またライバル達の野菜と差別化したいという思いから海藻粉末を扱う会社の様々な製品を使うようになって行った。同じ肥料を使う農家と出荷組合を作り組合長も務めた。勉強会やお互いの圃場見学したりスーパーマーケットでの対面販売や中央市場内の仲買人さんを相手に野菜の試食会を行う等PR活動も頻繁に行った。とにかくお金の掛かる農法だったが、それなりに利益は上がったし、一生懸命農業に打ち込む姿に父も次第に私のことを認めてくれる様になってきた。しかし、どんどんと資材を投入する農法に疑問も感じ始めていた。が、減らしたら良い物が出来なくなってしまうのではないかと不安に思う思考に陥ってしまっていた。その頃、土作りは進んでいるはずなのになかなか病害虫の被害は収まらない。農薬の使用についても同じことが言えた。収穫前最後の一回の散布を父との押し問答の末に止めるのがやっとだった。高価な海藻入り発酵肥料も大量に購入していたが、負担に感じる様になっていた。いつか発酵肥料を自分で作ってみたいと思っていた。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。