私は主に成年後見人等を受任して、利用者さんの財産管理や身上保護をしています。四文字熟語で書くと難しく思えるのですが、要は、お金や財産のあれこれ手配をサポートしたり、介護や福祉のサービスを使ったり病院受診が必要な時のサポートなど、基本的には相談し話をし手続きや手配をすることが仕事です。
買い物や洗い物、身体介護などは、教科書的には成年後見人の仕事の範疇ではありません。
とはいえ、しなければならない場面は多々あります。誰かがしなければ、利用者さんの生活が行き詰まってしまう時、自由の利く立場の私がすることが、時々あります。
何らかのサービスが使えたらいいのですが、そう上手くはいかないこともあります。
利用者さんの状態によって、どうサポートするかは変える必要があります。それも、むやみやたらと変えるのではなく、一応、根拠や理由を考えて、そうする必要があります。
このあたりは、福祉専門職の後見人の腕の見せ所だとおもっています。
例えば、ゆで卵を作る場合、一番手っ取り早いのは、私がさっさと茹でてしまうことでしょう。利用者さんが、ゆで卵を作る行動に参加できない場合、そうすると思います。
一方、利用者さんに、近い将来ゆで卵を作れるようになってもらった方がいい場合は、一緒にすることが必要です。そして、動作の一つ一つを、伝えて、やってるところを見てもらって、一緒にして、一人でしてもらって、一連の工程も全部一人でできるようになったら、その利用者さんは、ゆで卵を作るという自由を獲得できたことになります。
もちろん、途中ではいろいろとトラブルも起こります。ゆで卵のように、簡単で、工程が少なければいいのですが、暮らしの中では、いろいろと複雑なこともあります。
でも、それも経験。見るのも、やってみるのも、失敗するのも、うまくいくのも、すべて経験であり、失敗とうまくいくのは、結果でもあります。試行錯誤の、次の工夫への足掛かりとして、失敗経験も大切です。
自分でできることが増えるということは、いいことだと思います。
それが、何歳の時点であっても。
人に何かを頼んでしてもらう、というのは、結構窮屈なことです。
してもらわないとできないというのは、本当に窮屈です。
成年後見人等は、代理権や同意見を持ち、場合によっては意思決定の代行もしますが、基本的には意思決定のプロセスの支援をすることが大切だと思います。
いつもいつでも、ゆで卵づくりを伝えられるわけでもないのですが、一つのエピソードとともに、その気持ちは忘れずにいたいです。
そろそろ暑いから、ゆで卵づくりではなくて、氷づくりからのかき氷づくりをしようかな・・・と思ったりする今日この頃。
本当に暑い日がつづきそうです。
身体と頭を冷やしながら、心はホットに過ごしたいものです。