「心地よさの感じられる農業」とは言っても自分の経験してきた農業で感じたことは無かったし、北海道の美しい景色を作っている農業も実際は、効率を重視した単一作物の栽培だった。大型書店の農業に関する書棚に「自然農法」等と言う類の本を見付けた。福岡正信著「わら一本の革命」と言う本は面白かった。農業とは、言うが、種を蒔いて後は、ほぼ放任状態なのだ。人が手を掛けないことが、自然の理に適っているというのだ。それを切っ掛けに無農薬栽培や有機栽培等の本を読み漁った。しかし、一方で科学も好きだった。竹内均が編集長を務める科学雑誌の定期購読もしていた。その竹内均訳ジェレミー・リフキン著「エントロピーの法則」と言う本も非常に興味深かった。エネルギーは、高い方から低い方にしか流れず最後には、利用不可能なエントロピーが増大してゆくと言うのだ。地球内部の資源を使い果たしてしまえば、現代文明は、終わってしまう。唯一地球に降り注ぐエネルギーである太陽の光を活かせるのは、農業だと若かった自分は、単純にそう思いときめいた。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。