朝日新聞などで報道もされているため、ご存知の方もおられるかと思いますが、大阪市立木川南小学校の久保校長が実名で、松井市長に提言を行ったこと、またその後の市長の反応などについて、ネット上で話題になっています。提言の全文はこちらから読むことができます。
大阪市立木川南小学校・久保校長の「提言」全文：朝日新聞デジタル https://t.co/ANgm4mTRb7#木川南小学校長を支持します
素晴らしい人格者の校長先生です。これを読んだら共感し感動します。
また、大阪の教育現場にいかに維新に圧力を掛けられ、教員らは日々追い詰められていたかが垣間見れる。— ポクシル🔖 (@rubinuna) May 24, 2021
ことの発端は、4月19日の記者会見で松井市長が、大阪市内の小中学校の授業を原則オンラインにすると突然に宣言したことでした。そもそも市長にはそのようなことを決める権限はありません。学校に事前の連絡もなかった模様で、当然ながら教育現場は大混乱です。
大阪市の小中学校はオンライン授業を実施できるような準備は整ってはおらず、また各家庭の状況も多様です。またそもそも小中学校におけるオンライン授業は法令上、本来の授業としては認められないことになっているのです。市長の意向と現実との折り合いをつけるためか、22日に教育委員会から「小学校は、２限目までオンラインやプリントで自宅学習を行い、登校後４限目のみ教室での「指導」、給食を食べたあと帰宅」、「中学校は、午前中は自宅でオンラインやプリント学習、登校して給食を食べたあと、教室での「指導」を行う」という奇妙な通知が出されました。ちなみに大阪府内の小中学校は通常授業が継続されていました。
久保校長は独自の判断で集団登校継続、午前中４時間学習を決め保護者にアンケートも取った。
《約9割が「いつも通りの集団登校」に「賛成」》《「家庭でのオンライン学習が始まったらお子さんは1人で学習できるか」との問いには「できない」が約51%、「わからない」が約24%》@daiyusuzuki @mido1022— 宮崎亮 (@karamisomen) May 20, 2021
（上のTweetの右上のハトのマークをクリックすると、前後の経緯なども書かたtweetを見ることができます）
久保校長が提言、および保護者へのアンケート結果に基づいて、集団登校や午前中授業の継続判断を行ったことに対して松井市長が、「社会人として外に出たことはあるんかな」、「組織の一員として逸脱」などと発言し、また大阪維新の会所属の杉村幸太郎議員が久保校長の行為を問題視した発言を議会の子ども教育委員会で行ったことに対して市教委が、「校長に顛末書を提出させ、事情聴取を行う」と回答した（処分の可能性を示唆したととれる）ことなどをうけ、久保校長に賛同・共感する声が「＃木川南小学校長を支持します」というハッシュタグをつけて広がりを見せました。
突きつめれば、この競争的な格差社会を「是」として教育によってそれを再生産するのか、それとも「非」として教育を通して新しい社会を創造するのか、という違い。 https://t.co/dRvRcuulnE
— 鈴木 大裕 (@daiyusuzuki) May 20, 2021
木川南小学校の柵には
保護者や子どもたちからの校長先生へのメッセージを手書きしたリボンやリースが。
見守り隊の人によると日を追うごとに増えているとのこと。#木川南小学校長を支持します pic.twitter.com/i7JR297R4C— 佐藤圭子 (@FjFN5mUaxgFIsL4) May 25, 2021
#木川南小学校長を支持します
子供が木川南小学校に通っています。
毎朝日替わりで可愛いパペットを持って門の前で笑顔で子供達を迎え、各教室の様子をしょっちゅう見に来ては子供達に声をかけ、休み時間にはなぞなぞを校長室の前に貼り出し子供達はそれを楽しみに校長室に遊びに行く。— memu (@Xwm2c2ZdLsjAA0n) May 23, 2021
日刊ゲンダイ連載中のコラムです。
大阪の木川南小学校の久保校長、松井市長に提言書。素晴らしい教育理念。
松井市長は「辞めてもらう」 pic.twitter.com/9tmDpaeY8k— ラサール石井 (@lasar141) May 28, 2021
久保校長ご本人からの「校長メモ」も。
現場の苦難を訴えた、大阪市立木川南小学校の久保校長は維新市長や維新市議から圧力を受けているが、保護者が「久保校長先生応援しています」、子どもが「がっこうだいすき こうちょうせんせいだいすき」と。校長室に訪ねてきた生徒2人が「先生、やめないで」と。校長がどういう人か証明しています。 https://t.co/XnEHgBl4D9
— 住友陽文 (@akisumitomo) May 24, 2021
弁護士らでつくる自由法曹団と民主法律協会からも提言書が発せられています。
#木川南小学校長を支持します
校長先生は賞賛されこそすれ、処分できる事由は全く無い。
いまだに市教委が処分を検討しているのは、ひとえに松井市長への忖度。
松井市長は、教育への政治介入を今すぐやめろ。大阪市長への提言書めぐり「校長処分しないで」：朝日新聞https://t.co/Qv0U5XvGjn
— 大石あきこ🐾れいわ新選組大阪５区 (@oishiakiko) June 2, 2021
#木川南小学校長を支持します
民主法律協会が声明を発表！『大阪市立小学校長の「提言」を理由に懲戒処分を示唆する動向に抗議し、 全ての子どもたちの学ぶ権利の保障及び安心・安全な教育の実現を求める』https://t.co/m61LMx9qsH— 鈴木 大裕 (@daiyusuzuki) June 2, 2021
市長に実名入りで提言を出すことも、またあえて子どもたちの登校を継続させることも、大変な勇気を要する決断だったと思います。このような校長先生に対して、関係者・関係機関が、「子どもたちの学ぶ権利と発達する権利を実現していくための民主的な学校・教育運営のあり方」という立場から考え、行動されることを期待したいと思います。
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西垣順子＜大阪市立大学 大学教育研究センター＞
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「（寺じゃないけど）てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案（法律文化社）」「大学評価と青年の発達保障（晃洋書房）」（いずれも共著）など。