介護リフトを使うとお世話をする人もされる人も楽になるのですが、使ってみようという発想がわきづらく、ケアマネさんも積極的に薦めることは少ないようです。阪神大震災の時にビジネスホテルに避難した高齢者は、浴槽が高いので、浴槽の横にある便器の蓋の上でなんとか座位をとってスリングシートをかけて、入浴をしたケースがありました。ビジネスホテルのトイレはとても狭いですよね。あの空間でもリフトは使うことが出来るのです。広い部屋でないと使えないだろうと思われるかも知れませんが、そんなことはありません。
携帯用のリフトというのもあります。例えば障害のある子どもたちが川遊びに行きたい時などに車に積んで出かけ、川から引きあげてあげるなど、リフトがあることで行動が広がります。最近は車のリフトの認知度も上がってきました。ワンボックスカーで支柱を立てて、リフトで車のシートに座らせることが出来ます。特殊な車ではなく、ごく一般的な車につけることが出来ます。車椅子のまま乗り降りできる福祉車両もありますが、数分ならともかく、長時間乗っているなら、車椅子ではなく車のシートに座る方が絶対に楽です。シートに乗り込むのは結構大変なので、自動車メーカーが座面を下ろせるタイプの車も販売しているけれど、価格が高くなりますよね。支柱を立ててリフトをつければ、助手席でも後部でもアームの可動域のどこでも座れるので、一緒に助手席に乗ってドライブに行くことも可能です。こうしたリフトは以前はありませんでした。使う人のニーズが高まったことで実現したものです。
※「高齢生活研究所」所長 浜田きよ子さんの排泄や福祉用具にまつわる話を、毎月紹介しています。前回はこちら。排泄や介護に関する相談は排泄用具の情報館「むつき庵」まで。