米国でアフリカ系の方が警察から暴力を受けたり殺されたりする事件が相次ぎ、Black lives matter(黒人の命も大切だ)という人種差別抗議活動が盛んになっています。テニスの大坂なおみ選手の行動やメッセージは日本でも話題になっています。
全米オープンテニス出場中の大坂なおみ選手が、いま、アメリカのツイッターでトレンド入りしている。マスクには「ブリオナ・テイラー」さんの名前。今年3月、ケンタッキー州の自宅で就寝中、押し入った警察に射殺された26歳の黒人女性だ。 pic.twitter.com/Xq1xm1s5a2
— 大矢英代|Hanayo Oya (@oya_hanayo) September 1, 2020
「私がプレーをしないことで何かが起きるとは思いませんが、白人が大多数のスポーツの中で会話を始めることができれば、正しい方向へ進む一歩になるのではないかと思っています」
全米テニス協会は先程、大坂選手が欠場する日の全試合を「人種的不平等への抗議を承認すべく」中止と発表。一歩の力🎾 https://t.co/qUyxLJMgti
— ロバート キャンベル (@rcampbelltokyo) August 27, 2020
アスリートが政治的発言をすることを批判する人々への反論もからも、彼女がしっかりと考えている人であることがわかります。
全ての人がこの問題に関心を持ち、声を上げていい。
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「アスリートは政治に関与してはいけない、ただ人を楽しませるべきだと言われることが嫌いです。これは人権の問題です。なぜ私よりもあなたの方がこの問題について『話す権利』があると言えるのでしょうか? https://t.co/ZYqhv39YFW— 東ちづる /Get in touch (@ChizuruA1) June 7, 2020
日本の女性たちへのメッセージも。
「少数の無知が、多くの人の前進を妨げてはいけません。バイレイシャルの女の子が、私がグランドスラムを制覇したときのような誇らしさで輝いてほしい。」#大坂なおみ(@naomiosaka) が特別寄稿。ジョージ・フロイド事件の数日後に、私がミネアポリスでデモに参加した理由https://t.co/7lzIyiblAF pic.twitter.com/MyvShrGLFh
— ELLE Japan (@ellejapan) July 14, 2020
さて人種差別問題は米国だけの問題ではなく、日本でも深刻です。つい最近も茂木外務大臣が外国人記者に対して差別的な態度をとったことが問題になりました。
日本の国籍を持たない人々の処遇を人間の権利ではなく国家の都合から規定してよいという論理が日本ではあまりに強すぎる。見た目上の処遇が良い場合にも厳しい場合にも根底にあるものは同じ。時の政府の都合。だから状況が変われば変わるし、良い処遇も一時の恩恵でしかない。https://t.co/K72N24eN2A
— 望月優大 (@hirokim21) September 3, 2020
また在日コリアンの方々に対しては、ヘイトスピーチなど深刻な暴力などが加えられている現状があります。歴史的な事実を否定する動きもあります。9月1日は関東大震災が起きた日ですが、このときには多くの朝鮮人の人々が、デマによって扇動された日本人によって虐殺されました。その追悼集会への追悼文を、小池都知事は今年も送らなかったとのことです。Twitter上には「#私は追悼します」「#小池百合子は9月1日に追悼文を送れ」というハッシュタグのついた投稿も寄せられています。
#私は追悼します#小池百合子は9月1日に追悼文を送れ
今年は追悼会に行かれませんので、ここに追悼の意を表します。差別偏見による犯罪を二度と起こすことがないように。 pic.twitter.com/IHIw4yG8Zq— Kocmoc Kocma (@KocmocKocma) August 31, 2020
また学校や幼児教育・保育において、さまざまな福祉的な措置から外されるということもあります。ちなみに、朝鮮大学校は日本の法体系において高等教育機関として位置づけられています(愛知県弁護士会会長声明などがこちらから読めます)。
https://twitter.com/Shun_Hirose/status/1292633879925256192https://twitter.com/kazumi_sunada/status/1300652605354381312
映画監督のオリバー・ストーンが追悼集会に寄せたメッセージは、日米がともに抱える人種差別・偏見・歴史無視の問題を示唆しているように思います。
私たちの国(アメリカ)が今直面している課題でもあります」
「私たちはみなさんのような真実の歴史観のために戦う人々との連帯を強固にし、このような憎悪に基づく犯罪を二度と起こさせないという決意のもと、皆さんと共に被害者を追悼したいと思います。」
— Kazumi Sunada (@kazumi_sunada) September 1, 2020
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。