障害のある子どもとお金のこと(5)

前回の続きです。
今回も、架空の山田花子さんのケースで書きたいと思います。(読んでいただいた方からその方がイメージがしやすいというお声をいただきました。)

今回は、花子さんのご両親が考えておられる成年後見制度について書きます。
山田花子さんの金銭の管理はご両親がされています。しかし、ご両親は、自分たちが亡き後を考えて、そろそろ成年後見制度を利用したいと考えておられます。ご両親は、金銭管理だけを望んでいるわけではありません。


① 本人のために有意義にお金を使ってくれる。
②グループホームや通所先で適切なケアを受けているか目配りをしてくれる。
③困ったことがあれば本人の権利を護るために本人に代わって意見を言ってくれる。
④必要な福祉サービスの契約をしてくれる。

つまり、本人の権利を守ってくれる人。そんな人に成年後見人を受任してほしいと思っています。

 

成年後見人というと「金銭管理」のイメージが強く、「金銭管理のために、子どもの大切なお金を知らない人に預けて、さらにお金を払うなんて…」ということを言われる方が結構おられます。しかし、後見人の仕事は、金銭管理だけではありません。金銭管理も含んだ本人を守る制度だと理解してもらえたらと思います。

 例えば、花子さんの場合、ご両親が亡くなった後、花子さん自身が「ほかの通所施設に通いたい」などの希望を持たれることがあるかもしれません。そんな時に、本人の希望にそってくれる支援者がそばにいればいいですが、そうでなければ本人の思いを伝えることはむつかしいかもしれませんし、伝えても「このままでいいじゃない」と言われてしまうかもしれません。

そんな時に、本人の希望を代弁し、ケース会議などに参加して新しい通所施設の検討をお願いすることも成年後見人の仕事に含まれています。ただ、ややこしいのは成年後見人が新しい施設を探すことはできないということです。

あくまで「代弁して意見を言う」という立場になります。そして、新しい施設に通うことが決まれば、福祉サービスの契約の際、花子さんに代わって契約書にサインしたり、施設の費用を支払ったり、様々な手続きをするのが成年後見人です。

このように、本人が安心して生活できているか、本人の意思決定が尊重されているかを見守る仕事も成年後見人の仕事です。(*成年後見制度の利用促進に関する法律第3条1項)
花子さんのご両親は、この法律に書かれている「身上の保護」を特に重視して成年後見人を選びたいと考えておられ、以前から本人のことをよく知っていて、ご両親も本人も信頼を寄せている社会福祉士の鈴木さんに依頼をしました。
社会福祉士の鈴木さん(仮名)は、「まだ、ご両親はお元気ですので、最初は、親御さんと私の二人で複数後見をしませんか?そうすれば私も、ご両親がどのようなことを大切にされているか、どのようなお金の使い方をされてきたかを引き継ぐことができます。」と提案しました。

相談の結果、お母さんと社会福祉士の鈴木さんが二人で後見人を受任し、当面は、金銭管理はお母さんが主な担当で、社会福祉士の鈴木さんは「身上の保護」を中心に担うことになりました。

お母さんが今68歳ですので、5年ほどは二人で複数後見をして様々なことを引き継いでいこうという話になりました。(複数後見の場合、後見報酬は折半をすることが多いです。)そして、まず、家庭裁判所に申し立ての書類を受け取りにいきました。(続く)

*成年後見制度の利用の促進に関する法律
第三条 成年後見制度の利用の促進は、成年被後見人等が、成年被後見人等でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障されるべきこと、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきこと及び成年被後見人等の財産の管理のみならず身上の保護が適切に行われるべきこと等の成年後見制度の理念を踏まえて行われるものとする。

 


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坂本彩(彩社会福祉士事務所) 大学卒業後、20年間、知的障害のある人とかかわる仕事をする。2017年に、独立型社会福祉士事務所を開業。福祉施設のアドバイザーや研修講師、成年後見人の受任、大学の非常勤講師などをしている。障害のある人もない人も一緒に「学び合いの空間づくり」をしていきたい。社会福祉士、介護福祉士、障害者相談支援専門員、そのほか、漢方養生士指導士、漢方スタイリスト、薬膳アドバイザーの資格も持つ。