渥美清主演の『男はつらいよ』シリーズ50作目の人間ドラマ。
数々の名作を手掛けてきた山田洋次がメガホンを取り、車寅次郎のおいの満男と初恋の人イズミが再会する物語が描かれる。『ALWAYS』シリーズなどの吉岡秀隆が満男を演じ、主題歌を「サザンオールスターズ」の桑田佳祐が歌う。イズミ役の後藤久美子のほか、倍賞千恵子、前田吟、浅丘ルリ子らが共演している。
《あらすじ》
車寅次郎(渥美清)のおいである諏訪満男(吉岡秀隆)の妻の七回忌に一同が集まり、
法事の後は昔話に花を咲かせていた。
満男は長年会社員として働いたが、仕事の合間をぬって執筆していた小説が評価されて小説家に転進した。ある日、彼のサイン会が開かれ、その列に並ぶ人々の中に満男の初恋の相手イズミ(後藤久美子)がいた。
おテルは、この「寅さん」シリーズを、漏れなく見てきたわけではありませんが、渥美清の独特の存在には、魅力を感じていたのです。
今回の50作目は、記念映画の華やかさは表面だけで、中身は相当シビア。満男は大人となり、再会した初恋の人・泉の家庭事情は深刻さを増している。つい寅さんの恋愛劇に目を奪われがちだが、歴代マドンナはリリー(朝丘ルリ子)のように、男や仕事に翻弄されながら生きていたり、歌子(吉永小百合)のように父一人を残しての結婚に迷っていたりと、人生の岐路に立たされた人たち。そこにふっと寅さんが現れ、彼女たちの背中を押し、脱力の笑いを届ける。時代を生きる女性たちへの応援歌だったとは今更ながら気付かされます。そりゃ皆、美女たちが寅さんを慕うワケだ。そして挿入されるシリーズの名シーンに確実に笑わされ、改めて秀逸な脚本に脱帽します。
それにしても、リリー(朝丘ルリ子)が今現在もリリーなのだから、驚愕します。
★★90点★★