大学学費無償化の嘘ー端境期⁉

2020年が始まって最初に担当させていただく記事のネタを何にしようか…と考えたのですが、やはり年末に飛び出した文科大臣の端境期発言がホットなうちに取り上げようと思います。
経緯がまとまった記事がこちらにありました。


去年の7月に成立した「大学等就学支援法」(個人的にはデタラメ無償化法と呼んでいます)については、カナリア倶楽部でも何度か記事を書いてきました。この法律の内容については元事務次官の前川さんの説明がわかりやすいです。


そしてこの法律の成立によって、今までは学費の減免を受けていた学生たちが授業料の全額負担を求められることになるということも、去年の秋から明らかになり始めました。


大学に今現在在学していて学費の減免を受けている人については、移行措置として減免を継続するようです。しかし新入生からは変わります。つまり同じ家庭でも、「お兄さん、お姉さんは減免を受けたけれども、自分は受けられない」という学生が多く出てくることが確定しました。もちろん当事者が、納得できるとは思えません。


「大学等就学支援法」については、首相をはじめとする政治家やマスコミが「高等教育無償化」と呼んでいました。「無償化」と呼べるものでは全くないことは上述の通りですが、一般の学生や親御さんたちはそんなことまで知らないことが多いです。無償になるから大学に行ける、バイトに追われなくても済むと、希望を抱いた人たちは少なくなかったようです。正直、酷い話だと思います(次のリンクのtwitterのハトマークをクリックすると(続)の後が読めます)。


そして教育費は増大する一方です。


そんな中でも東京大学は、現在の学費減免を維持するそうです。素晴らしいと思います。他方でお金をたくさん持っている東大だからできることでもあります。


これが広がるためには、教育費への公的支出を増やさないといけません。そしてそのためには、高等教育を受ける権利についての世論が盛り上がる必要があるのだと思います。国公私立の大学が設置形態の枠を超えて連帯し、国に要求することも大事だと思っています。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など


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