毎月2回、第1金曜日と第3金曜日に掲載していただいています。振り返ってみると、第1金曜日には『〇月が始まりました。早いですね』という書き出しで、第3金曜日には『〇月ももう半ばです。早いですね』という書き出しで始まっています。マンネリ化から感じる安定感は安心につながりますが、新鮮味には欠けるので、やはり時々違うものを求めたくなる気持ちもあります。
さて、11月も半ばになりました。先日、即位をお祝いするパレードが行われました。令和になってから半年が過ぎましたが、新しい時代の雰囲気と伝統の重みを画面越しや紙面の写真で感じる時間でした。
今回は防災の話を。
今年の夏から秋にかけても、自然災害は大きな爪痕を日本列島に残しました。台風の発生や進路は、地震と違い数日前から予測できるものですが、しかし、向かってくる巨大な台風に対しては、人間がなせることは限られています。何度も繰り返していますが、日ごろからの備え、そのときの適切な判断で、命や財産を守ることが必要です。
秋は各地で防災訓練が行われる機会が多いものです。私も仕事の関係で、兵庫県内各地の防災訓練の場に出かける機会があり、いろいろな体験コーナーや炊き出し訓練をのぞいています。消防や警察の協力がある場合、本番のような熱のこもった救助訓練がおこなわれていることもあります。
ただ、気になる点としては、地域行事として行われる場合、参加者は高齢の方が多く、若い世代が少ないことと、高齢の方でも自力で歩ける方が多く、車椅子やシルバーカーを利用して参加されている方は、ほとんど見ないことです。
昨年、岡山県へ災害支援に行った際、被災した方から聞いた「おじいちゃんが寝たきりで、水が迫ってきたときにどうしようか焦った。幸い、そこまで水はあがってこなかったけれど」という言葉が頭の中でよぎります。
私たちはいろいろとイメージできる能力を持っています。頭の中では、例えば車椅子を利用されている方に避難していただく場合、「車椅子に乗ってもらう」「押して移動する」という避難イメージができます。しかし実際は、そこに誰が行くのか、誰が車椅子に乗りうつる支援をするのか、誰が押すのか、それらをどうやってするのか、ということは、やってみようとなると課題になる部分です。
車椅子やシルバーカーを家族が使っている場合、日ごろから操作する機会があり慣れていると思いますが、地域の方全員がそういうわけではありません。いままで車椅子に乗った経験もなく、押した経験もない方もいらっしゃいます。その場合、わずかの段差の上り下りが難しかったり、リスクが伴う操作方法になっている場合もあります。無理をして力で押し上げようとすると、支援者が身体をいためる場合もあるでしょう。
何が言いたいかと言うと、防災というのは一人でできるものではありません。もちろん、災害時には自分の命を守ろうとすることは最優先ですが、同時に、人の優しさは周囲の人を助けようとすることにも発揮されるでしょう。
特に、車椅子やスロープ、昇降機などの道具は、正しい使い方を知っておくことで、支援者と支援される側の安全を守ります。ちょっとした操作のコツをつかんでおくことは、いざという時に、素早く身を守る行動につなげられることになります。
車椅子で、10センチ程度の段差を上がるときの支援での操作方法、わかりますか?
そろそろ秋の防災訓練が多い時期は過ぎようとしていますが、防災は日々の心がけの積み重ね。移動が困難になることは、高齢者だけの話ではありません。突発的なケガや病気でも一時的に車椅子を利用することは、誰にだってありえる話です。
防災は、日々の生活について「もしも?」と思うことから始まるものです。皆さんが、もし、車椅子の操作についてご存知でなければ、是非確認を。ご存知であれば、周囲の人に「あなたは、操作方法しってる?」と、是非確認を。
さまざまな災害発生の心配は尽きませんが、みんなで力を合わせ、安心して暮らせる時代を作っていきたいものです。