大学生の友達づくり

10月になり,ほとんどの大学では後期の授業が始まりました。ここ10~15年ほど,「半期に絶対15回の授業を確保する。定期試験は15回とは別枠で」ということで,早いところでは9月半ばから後期の授業が始まっています。私も後期は3つの大学で非常勤講師として授業を担当しており,久しぶりに学生に会ってきました。学生に夏休み何をしたかを聞いてみると,実家に帰ったり,バイトを頑張ったり,地元の友達や大学の友達と買い物に行ったりアミューズメント施設に遊びに行ったり,それぞれに夏休みを楽しんだようです。おかげで前期に教えた授業内容を忘れているのが講師としてはつらいところです(という私も,統計の授業で私が計算間違いをし,学生に教えられるというドジをやらかしましたが)。

一方で,久しぶりの大学に戸惑っている学生もちらほら。ちょっと季節はずれかもしれませんが,後期がはじまってまた新しい気分での学生生活ということで,今日は大学生の友達づくりについて考えてみます。

休み時間や講義中(着席行動)の学生の様子を見ると,だいたい3パターンくらいに分かれるような気がしています。(1)一人で行動,(2)仲のいい2~3人で行動,(3)仲のいい5~6人で行動

では,大学生には「親友」は何人いるのでしょうか。これは調査によって若干違いがあります

「0人」という結果もあれば,「2~3人」という結果もあります。「まさかの0人!」という書き方をしているサイトもありますが,大学という場を考えると,不思議ではないでしょう。

大学生に友達の作り方を伝授するサイトもあります。

中には友達の作り方を大学として伝授する取り組みもあるそうで。そこまで大学がお世話しないといけないのかなという思いはありますが,そういう世の中なのだろうなという気もし,複雑な思いもあります。

 朝日新聞デジタル 
【写真・図版】大学が企画した「仲間づくり」で、グループに分かれて課題に取り組...
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20180412002859.html
友達づくり、大学お手伝い 新入生の孤立・中退防ぐ 仲間作りの会・チーム分かれゲーム:朝日新聞デジタル

結局,「高校までと,大学という場は違うんだよ」ということを,以前は大学に入って自分で実感して自分で試行錯誤していたのが,今は上記のようなサイトが支援してくれたり,勉学の面でも友達づくりの面でも,大学側がサポートすることを求められたりする時代なのかもしれません。勉学の面でも,ノートの取り方やレポートの書き方を教える”初年次教育”がいまは普通に行われています。

大学生活において,友達はいなければならないのか? 親友はつくらないといけないのだろうか??と,また私は逆転の発想をしてしまいます。

具体的にいうと,大学生活で「ひとり」を経験しないでどうするのか?という気持ちもあります。時代が違いますが,私は友達がとっていない授業をとったり,授業終了からサークル始まるまでの間,大学内や周辺を散策したり,私は「ひとり」の自由を満喫していました…のは,それなりに学部でもサークルでも友達がいたからかもしれません(ちなみにサークルは第一希望の吹奏楽団に入れず,高校時代の友達に合唱団にひっぱっていかれて,いつの間にかやめられなくなってたという次第)。結果的に,大学院時代とサークルでの友達が今も親しくしている友人になっています。大学の学部での一番の親友は,空の向こうにいってしまいました。

私は先週の授業後,スクールバスに乗って帰ったのですが,みんな必死でスマホでLINEをしていました。電車に乗っていてもLINEをしている大学生は多いです。友達とはLINEで広く浅くつながるものなのかもしれません。たまたま隣り合った女子学生もLINEをしていました。ちょっと聞きたいことがあったので「この時間帯のバス混みますか?」という話からいろいろ話をしました(割と混むそうです)。友達については聞かなかったのですが,Facebookは使っている人が少なく,もっぱらLINE,Twitter(鍵つき,鍵なし両方)だそうです。SNSが友達づくりを大きくかえたともいえます。ちなみに大学生活はどう?楽しい?と聞くと「う~…ん?」という微妙な答えでした。勉強は難しい。サークルは入っているけれど今日はない。家が超遠方なので毎日忙しいという話をしていました。ひとりひとりと接してみると,みんな素直な,良い若者です。

後期も,私は講師としてですが,ひとりひとりの学生の心の何かに残るような授業をしたいなと思います。後期に入って前期よく会ってた友達にあまり会わなくなった学生にも,友達のいない学生にも,友達いなくてもいいのよ,あなたが納得いく大学生活を送ればいいから大丈夫だよと言いたいです。

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橋本京子
大阪府茨木市生まれ。京都で大学生・大学院生時代を過ごす。現在,心理学関係の研究,大学の非常勤講師をしながら,5歳になる息子の子育て中。「人間は“病的な心理状態を普通の状態に戻す”だけではなくて“もともと個人が持っている長所や強みを生かして,より幸せな人生を送る”ことができる。それは“しんどい”“つらい”時にも発揮される人間の力である」ということを実践,研究したいと考えている。


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