先日、3つの惑星と書いたが4つ有った。金星・木星・火星そしてそれらより少し暗いが土星が見えていた。仕事が終わり、すっかり辺りが暗くなった午後8時過ぎ、ラジオから火星最接近のニュースを耳にした母が、どの星か教えて欲しいと言ってきた。作業場から外に出て夜空を見上げる。少し見通しが悪かったので全天の見えるところに移動した。田を渡る涼しい風の上に広大な夜空が広がる。南の空に西から東へと明るい4つの星が大きな弧を描くように連なる。私が西から順に指を指しながら金星・木星・土星・火星と教えた。母は、「綺麗やな~!水・金・地・火・木」と昔習った惑星の名前をつぶやいた。そしてこう尋ねてきた。「地球は何処や?」と。なにかあっけに取られ少し間を置いて「ここや」と足元を指差した。ハッとした母が、恥ずかしそうにしている。
笑った。二人で笑った。そしてまた夜空を見上げた。「自然は、ちゃんとご褒美もくれはるな~」と母が、言う。
京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。