アルゼンチンで開かれていたG20が今月22日、閉幕しました。どのような成果があったのでしょう?
G20とはGroup of 20の略。20ヵ国・地域の財務相・中央銀行総裁が一堂に会します。日米欧と新興国がメンバーですが、「地域」と書きましたのはEUも一員として加わっているためです。結論を言いますと、アメリカとその他の国々との対立が明確になりました。共同声明には「成長の下振れリスクが増大している」との文言が盛り込まれましたが、このままですと世界の株価や外国為替が下落し、世界経済は低迷するとの危機感が表明されたわけです。
アメリカとその他の国々の対立点とは何ですか?
2つあります。まずは「貿易戦争」です。周知のように、アメリカは中国に制裁関税をかけ、それに反発した中国がアメリカに報復関税をかけました。また、アメリカがEUから輸入する鉄鋼とアルミニウムに関税をかけたことから、EUもアメリカ製品への関税を発動しました。アメリカはさらに、日本や欧州の自動車にも関税をかけようとしています。
もう1つの対立点は?
為替問題です。アメリカはドル高の原因が中国やEUにあると考えます。つまり人民元やユーロがドルに対し、不当に安く誘導操作されているというのです。しかし、ドル高にはアメリカ側の責任もあります。アメリカは金利を上げる政策に転じました。そのため世界の投資家は、利率のよいドルを買うことになったのです。その結果、ドルの価値が益々上がり、相対的に他の通貨は安くならざるを得なかったのです。
アメリカと他の諸国の対立は解消されるのでしょうか?
双方に言い分はありますので、溝は簡単に埋まりません。しかし、そのこと自体よりも、G20のような国際協議システムが不全に陥っていることの方が深刻です。第二次世界大戦後は、国家の単独主義を抑え、国際協調をとることが重要な理念とされてきました。
しかし今回、G20は実質的に何も具体策を出すことができず、以後は2国間協議で対応するほかなくなりました。例えばアメリカと中国、アメリカとドイツ、アメリカと日本というふうな二国間交渉に委ねられたわけです。大まかな言い方をすれば、世界は開かれたものから閉じられたものへと変質しつつあります。つまりブロック経済や保護貿易といった自国中心主義です。トランプ大統領のアメリカファーストを、他の国々が真似し始めているのが心配です。
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