認知症で行方不明
2017年に認知症、あるいはその疑いがある人で、行方不明になり警察に届けられた件数は、1万5863人だったそうです。統計を取り始めた12年から過去最多となりました。7割強の人は届け出たその日に発見されているようですが、残念ながら死亡で発見された人は470人もいたそうです。いまやすっかり「認知症」という言葉は誰もが知ることになりましたが、この言葉が登場したのは2004年。それまでは「痴呆」と呼ばれていました。「痴呆」という言葉を知らない人のほうが、今は多いかもしれませんね。介護保険施行4年目のことであり、「痴呆」には侮蔑的な印象があるので名称変更されましたが、良くも悪くも子どもから大人まで誰もが「認知症」を知ることになったと思います。今後さらに認知症の人は増加すると言われています。GPS付きの靴など行方不明対策も開発されていますが、人々の目での気配りもしたいものです。
認知症サポーター
認知症の人の行方不明者数が発表された後に、「認知症サポーター」数が1千万人を超えたというニュースもありました。認知症サポーター制度は、2005年に厚労省がはじめた認知症を啓蒙する企画で、当初は100万人が目標でした。認知症グループホームの経営者などが広報に頑張っておられた姿を今も思い出します。行政主導の企画はうまくいかないのでは(苦笑)という予測に反し、多くの人が関心を持ち1000万人超え。これには少し感動です。年代別では70歳以上が約215万人、次に10歳代以下210万人、小学校の特別授業でも取り入れているそうです。金融機関等を中心に高齢者と接する企業の多くも、認知症サポーターの講習を受けています。
認知症サポーターになるためには、約90分の講座を受けることが必要です。講師役は「キャラバン・メイト」と呼ばれる自治体などが実施する養成研修を受けた人が、町内会や企業、グループに向けて要望があれば実施しています。社会福祉協議会などでも定期的に実施していますので、気になる人は一度聞いてみてください。筆者も初期の頃にサポーターになり、その後キャラバン・メイトにもなりました(*’ω’*)。なかなか講座を開くほどの活動はできていないのですが、サポーターのおススメをあちこちでPRしています。90分という短い講座ですが、自分は何ができるか?を考えるいい機会です。ぜひ、機会があれば参加してみてください。
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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。2016年独立。