雪交じりの冷たい雨。こんな時、野菜の収穫に出るのはなかなか気が進まない。こんな時、もくもくと畑で仕事をしている人を見かけると、偉いな~、強いな~、凄いな~と思う。でもいざ自分がその仕事をしている時は、寒い、冷たい、痛い、早く終わらせたい。自分は、偉い。もっと頑張ろうとは全然思っていない。冷たく濡れたほうれん草に混じり、春の七草のナズナが柔らかそうに伸びている。湯気の上がったナズナ入りのお粥が頭に浮かぶ。温かいお椀を両手で包み込むように持ち、指先に伝わる温もりを想像してみる。冷え切った手だが、濡れた手袋を取るとほんのり湯気が上がる。
※京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら。