新年度、今日から18歳も大人の仲間入り

2022年度がスタートしました。

4月1日は入学式や入社式があり、新しい生活が始まる人は多いと思います。しかし、今年の4月1日の最も大きなトピックスは、「成人年齢の引き下げ」の実施ではないかとおもいます。ここ数日のニュースでは、新型コロナウィルス、ウクライナの話題についで、成人年齢の引き下げに関する話題が多くみられました。

私は社会福祉士ですが、活動の中には更生支援に関すること、子ども福祉に関することなど、今回の成人年齢の引き下げにも絡む仕事があります。今のところ、直接の影響はまだありませんが、今後、18歳の成人の支援に関わることもあるかと思います。成人年齢の引き下げによって何が変わり、何が変わらず、どのような影響がでる可能性があるのかを、しっかり確認する必要があります。

話題としては、契約行為が単独でできるため、大きなローンを抱えてしまい返済が難しくなったり、AV等への実質強制的な出演契約がなされてしまうなどが心配されています。また、法を犯す行為があった際に、実名報道や刑罰についてどうするのかという話題もあります。選挙権が認められ、大人としての役割ができると判断されていることと、精神的に成熟していく年齢層で経験的にも未熟である点ことから、すっきりと自己責任を求めるべきなのか否か、意見が分かれるところです。

私自身の若いころを振り返ると、気分的には中学生になった頃ぐらいには、すでに自分では「自分は大人だ」と思っていたような気がします。それは思春期の入り口で、いろんなことを「自分でやりたい、自分でできる、自分のことは自分できめてできる」と思い始めていた頃なのだと思います。当然今思うと、全く大人と同じようにはできていないわけですが、当時は自分が日々成長する中で「もう子どもではない」と思っていたのでしょう。

子どもから育っていくにつれ「自立」が求められます。“いい歳”になると、「もう子どもではないのだから」という言葉と共に、何かを指摘されることもあります。自分のことは自分ですることを求められている気がします。実際、例えば家事の中では、自分のことを自分でするということは、大きくなるにつれいろいろと求められます。しかし、「自立」とは、「自分のことを自分でする」ことなのでしょうか?

福祉の中では「自立支援」という言葉がよく使われます。その言葉は、使われる場面や使い方によって、広い意味であったり狭い意味であったりしますが、私は「自立支援」を、まず「自分に関することをしっかりと考える」ということであると理解しています。その延長に「自分でする」という場合もあるというイメージで、単純に「自立=自分でする」ではない気がしています。

「しっかりと考える」と言うのは、何も自分一人だけで考えるということではありません。社会には、いろんな専門家がいます。いろんな考えを持った人がいます。時に必要な人の知恵や意見を参考にしながら、「しっかりと考える」ことが大切です。人の意見に耳を傾け、その中で自分のベストを考えることができるといいと思います。人の意見に耳を傾けるのは、時には面白くないこともあり、時にはつらい現実を見なければならないことにもなるかもしれませんが、それに耳をふさがず目を閉じず考えることで、「こんなはずじゃなかった」と後から思うことを、少しでも回避できるように思います。

私は仕事の中で成年後見人をしていますが、成年後見人の仕事というのは、成人である制度の利用者の契約行為や生活の中での判断をサポートするものです。本来は成人がそれぞれに持つ権利を制限し、代わりに行使するということになります。自立を「自分のことは自分でする」という基準で考えると、自立を阻害していることになりますが、しかし、成年後見人の仕事は基本的には権利を護りながら本人の自立を支援しています。つまり、本人が自分の人生について考え選ぶことのサポートを行い、本人主体で人生を生きることができるように支援をしています。

ニュースでは、18・19歳の成人が詐欺被害や過剰な負債、やりたくないことへの強制的な契約によって不利な状態になることが懸念されています。一方で大人としての判断力があるとされています。新成人の皆さんには、しっかりと色んな意見を聞き、社会に関心を持ち、自分の未来にも心を開いて、これからの日本を支える若い世代として活躍いただきたいなと思います。

また一つ、新しい時代がはじまると感じる、2022年の4月1日。新年度が、皆様にとって充実した1年になりますように。

この時期、見飽きるモノではないと思うものの、桜の写真はあちこちにあるので、桜でないこの時期の花を。写真は「山桜桃梅」です。漢字で書くと豪華ですね。読み方は「ゆすらうめ」です。ぎっしりと花がついていますが、この後しばらくすると、ぎっしりと赤い実が実ります。サクラのように見上げる高さではなく、目線と同じぐらいの木で、小さな花を間近に見ることができます。よくこんなに花が密集して咲くものだなとおもうほど、本当にぎっしりと咲いています。今年もたくさんの実をつけそうなので楽しみです。花より団子派です。

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兵庫県在住。「福祉×ICTで、毎日を安心安全に、心豊かに。あなたに寄り添う相談援助」をモットーに『森のすず社会福祉士事務所』開業。成年後見等による高齢者・障害者支援、認知症の方と家族の支援ならびに防災と福祉の地域啓発活動、スクールソーシャルワーカー、各種研修講師などの活動に取り組んでいる。2022年から同志社大学社会学研究科の後期課程博士課程院生。カレーと豆好き。犬大好き。社会福祉士、公認心理師、防災士。介護支援専門員。第1種大型自動車免許、2級FP技能士、第2級アマチュア無線技士。