こころ野便り~農業について思う。チャレンジ編 その11

自家製発酵肥料の使用で何とか病害虫とも共存しながら野菜を育てることに目途が立ったかの様に思われた。しかし、きれいに生育している野菜が途中から葉を縁取る様に色が抜ける症状が出始めた。何かの栄養素の欠乏症の様ではあるがよく分からなかった。実は、そこに自家製有機肥料への過信があった。集めてきた肥料の材料になる有機物の中には、野菜が必要とする栄養素が全て入っていると思っていた。そこに牡蠣殻肥料を加えてカルシウムと微量要素も補えていると思っていた。土壌分析をしてみるとマグネシウムが不足していることが分かった。マグネシウムは、葉緑体の中心にある重要な成分で植物に比較的多く必要だ。それまでその欠乏症が出なかったのは、購入肥料の中に何らかの形で添加されていたのだと思う。有機農業で使用可能なマグネシウム肥料を探し使用すると、症状はなくなった。マグネシウムは、海水に含まれる苦汁のことで岩石中にも構成成分として含まれている。長い長い時間をかけ地中奥深くから地表に現れた岩石が風化してその成分が解放され、地上に生きる植物の栄養になる。このことを知った時、地球規模の大きな大きな営みの端っこで私達が生きていることに気付いた。

京滋有機農業研究会 会長の田中真弥さんが無減農薬野菜などの宅配サービスの会員向けに連載しているコラム「こころ野便り」を当サイトにも掲載させて頂いています。前回はこちら


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