1月のカレンダーのイラストが…

2021年最初の記事です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて年末に、あるコンビニエンスストアのお惣菜商品群の名称「お母さん食堂」に対して、その名前を変更してほしいという要望を掲げて、3人の高校生が署名活動を始めたということが、ネット上で話題になっていました。こちらの記事に詳しく紹介されています。料理は女性がするものというアンコンシャスバイアス(無意識のバイアス)を、助長するような商品名はやめてほしいという主張です。

年が明けて、ある業者さんがくれたカレンダーの1月のイラスト見て仰天しました。お正月の食事風景で、家族6人(祖父母、父母、10歳くらいの子ども2人)が乾杯をしています。
しかし、お母さんだけが他の5人と違うのです。
他の5人はテーブルについています(椅子に座っています)。それぞれに飲み物を右手に持って、乾杯をしています。
お母さんだけが、左手にジュースの入ったピッチャーを持って立っているのです!レストランのウェイトレスみたいです(左手にピッチャーを持って立ったまま、右手にジュースの入ったコップを持って乾杯しているので、レストランのウェイトレスとは異なっているのですが)。

実際のところ、共働きの夫婦でも妻の側の家事負担が大きいことは周知のことですし、子どものお手伝いでも女の子は多くのお手伝いをしていることがデータで示されています(上記の記事参照)。
もっと深刻な状況として、家族の中に病人や要介護者がいる場合に、そのケアを子どもたちが担っているケースがありますが(ヤングケアラー問題)、女の子が担わされるケースが多くあります。
東京都立大学の乾彰夫先生の研究グループが、都内の高校卒業者を5年間(または12年間)追跡インタビューした研究プロジェクトがあり、その成果が『高卒5年 どう生き、これからどう生きるのか: 若者たちが今〈大人になる〉とは(大月書店)』という書籍などになっています。ここに登場する18-23歳の若者たちの中に、親きょうだいなどの家族のケアをしている人が一定数いますが、それは圧倒的に女性なのです。研究グループの一人であった杉田真衣さんが、彼女たちをさらに追跡調査して、『高卒女性の12年: 不安定な労働、ゆるやかなつながり(大月書店)』という本を出しています。


署名活動を始めた高校生が問題視しているアンコンシャスバイアスは、社会の中の多くの人たちが無自覚に受け入れているバイアスなので、この高校生たちの主張に違和感を感じる人も少なくないのだろうと思います。しかしこのアンコンシャスバイアスの悪影響は、現在の日本の社会に、無視できない悪影響を与えていると思います。
なお、「毎日、食事を作ってくれているお母さんへの敬意だ」という意見もあることは承知していますが、「やりがい搾取」という言葉もあります。


署名を届けられたコンビニチェーンが、高校生たちの真剣な考えと行動を、しっかりと受け止めてくれることを期待したいです。
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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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