12月4日の参院本会議で、教員の変形労働時間制の導入を可能とする改正教職員給与特別措置法(給特法)が成立しました。多くのメディアでは「教員が休日をまとめ取りできるようにする」と報じていますが、実際には多くの懸念が寄せられています(ちなみにそんな法律を作らなくても年次有給休暇があるわけですから、休日をとることは制度上は可能なのですが…)。
カナリア倶楽部でもおなじみのナベテルさんによる解説。
書きました。今国会に提出されている法案により、教員に変形労働時間制を導入すると、勤務時間をひと月分増やす大幅な労働強化が可能になる、という内容です。難しい話なので、書くのに大分苦労しました。https://t.co/3X6m36h8Gl
— 渡辺輝人 (@nabeteru1Q78) November 7, 2019
類似の指摘は他にもあります。
公立学校教員への1年単位の変形労働時間制導入は社会にとっても有害無益(嶋崎量) – Y!ニュース https://t.co/0BAeqgaIRP
専門的でかつ分かりやすく論点が整理された記事。これからこの法改正は国会の文部科学委員会で議論される予定。拙速な法改正を許さないために、ぜひ一読を。— 上西充子 (@mu0283) November 4, 2019
変形労働時間制導入を正当化するための理屈として政府が使っているのが「8月は教員の閑散期」というロジックなのですが、それに対してデータに基づく反論を寄せているのが内田良先生です。なんと、文科省が示していた各月の教員の労働時間を示すデータは、教員が休暇を取った日の労働時間(つまりゼロ時間)を含めた平均をとっているのだそうです。改竄とは言いませんが、大いなるごまかしです。
一年単位の変形労働時間制に関する記事が,やっと完成!こんな長文は初めて。
全国から毎月の労働時間の情報をいただき,データに忠実に執筆。皆様にお礼申し上げます。
▼教員の働き方 新制度に強い反発 8月は休めるか? データなき改革の行方を探る(内田良) Y!ニュース https://t.co/esSkqqf7j6
— 内田良/部活動・教職を持続可能に! (@RyoUchida_RIRIS) November 18, 2019
変形労働時間制度の問題を図解しておられる方がいました。図解の部分をクリックすると拡大した図を見ることができます。
図解チャレンジ更新しました✨
内田良先生の記事をもとに変形労働時間制と素朴な疑問について図解しました!一般教員への影響にフォーカスしてみました。情報かなり多めです💦
情報の間違いや、何かお気づきの点は教えていただけると幸いです。少しでも関心のある方が増えますように🍀#変形労働時間制 pic.twitter.com/aW30ihz9XI— らぱん@内向型HSP系教員 (@lapinHSP) November 21, 2019
学校現場からも悲鳴が上がっています。
「同世代の30歳前後は採用人数が多く、いま出産、子育て期に入っています。変形労働時間制が導入されたら、大量退職せざるをえなくなり、公教育は成立しなくなるのではないでしょうか」
▼教師をもう続けられない…3万人が残業隠しの「変形労働時間制」に悲鳴と怒りhttps://t.co/rmFXM2exca
— AERA (@AERAnetjp) October 18, 2019
現役の高校教師の斉藤ひでみさんが国会で証言しました。
本日の、国会参考人質疑の冒頭7分間の原稿です。
途中、あまりに怒りすぎて…。
なんか教員が怒っていたなあとは、伝わると思います。 pic.twitter.com/I5Wlc29pc8
— 斉藤ひでみ/現職教員 (@kimamanigo0815) November 28, 2019
教員をめざす学生たちも心配しています。
「学生が学校の労働環境について何も知らないまま教員になっている。このままでは何も変わらない。誰かが変えてくれるのを待つのではなく自分から動こう」https://t.co/z9z44M8FMy
— 私学教員ユニオン (@shigaku_union) November 1, 2019
「体がもたない」教育実習で体験した長時間労働 若者が教員を避ける要因に https://t.co/ZaQNqEnIXa #教員採用試験 #教育 #okinawa #沖縄
— 沖縄タイムス (@theokinawatimes) November 24, 2019
そして実際の学校現場では、教師の不足が深刻化しています。
これは、全国的な傾向だと思います。決して、一部の自治体の話ではない…。
教員への1年単位の変形労働時間制導入の趣旨(萩生田文科大臣談)に沿って考えると、この様な状態を放置している事こそ、国が導入しようとしている変形労働時間制の趣旨に反すると思うのです。 https://t.co/ZiU3C6Ydl9— くま子🐾 (@kuma_sakurairo) December 4, 2019
さて、こんなに問題の多い変形労働時間制度ですが、まだまだ食い止める方法はあります。この法律は都道府県単位でこの制度を導入しても良いというものなので、都道府県が導入しなければ良いのです。つまり変形労働時間制度を導入する条例を作らなければよいということになります。法律は成立してしまいましたが、引き続き注目してください。
これは大事なご指摘(@斉藤ひでみ先生)です。
一年単位の変形労働時間制が仮に導入されたとしても,県単位での条例化のところで,歯止めをかけるべき。 https://t.co/Hmd77nPpl5— 内田良/部活動・教職を持続可能に! (@RyoUchida_RIRIS) November 24, 2019
ちなみにこの件、News23で報道がありました。こちらから見ることができます(映像をクリックすると1つ目の映像が見られます。右上のハトマークをクリックすると、3つの映像のすべてを見ることのできる一連ツイートに飛びます)
【News23で紹介頂きました(1/3)】
2019.11.28国会参考人質疑の模様等をNews23で取り上げてもらいました。
▼教師の働き方改革に現場から反対 pic.twitter.com/SK6t68546X
— 斉藤ひでみ/現職教員 (@kimamanigo0815) November 28, 2019
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