学校への変形労働時間制導入ー何が問題か、どう食い止めるか

12月4日の参院本会議で、教員の変形労働時間制の導入を可能とする改正教職員給与特別措置法(給特法)が成立しました。多くのメディアでは「教員が休日をまとめ取りできるようにする」と報じていますが、実際には多くの懸念が寄せられています(ちなみにそんな法律を作らなくても年次有給休暇があるわけですから、休日をとることは制度上は可能なのですが…)。
カナリア倶楽部でもおなじみのナベテルさんによる解説。


類似の指摘は他にもあります。


変形労働時間制導入を正当化するための理屈として政府が使っているのが「8月は教員の閑散期」というロジックなのですが、それに対してデータに基づく反論を寄せているのが内田良先生です。なんと、文科省が示していた各月の教員の労働時間を示すデータは、教員が休暇を取った日の労働時間(つまりゼロ時間)を含めた平均をとっているのだそうです。改竄とは言いませんが、大いなるごまかしです。


変形労働時間制度の問題を図解しておられる方がいました。図解の部分をクリックすると拡大した図を見ることができます。


学校現場からも悲鳴が上がっています。


現役の高校教師の斉藤ひでみさんが国会で証言しました。


教員をめざす学生たちも心配しています。


そして実際の学校現場では、教師の不足が深刻化しています。


さて、こんなに問題の多い変形労働時間制度ですが、まだまだ食い止める方法はあります。この法律は都道府県単位でこの制度を導入しても良いというものなので、都道府県が導入しなければ良いのです。つまり変形労働時間制度を導入する条例を作らなければよいということになります。法律は成立してしまいましたが、引き続き注目してください。


ちなみにこの件、News23で報道がありました。こちらから見ることができます(映像をクリックすると1つ目の映像が見られます。右上のハトマークをクリックすると、3つの映像のすべてを見ることのできる一連ツイートに飛びます)


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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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