大事な大事な図書館なのに…

知り合いの図書館学の研究者によると、私の生まれ故郷の日野町は、町立図書館ができるのが全国でも大変遅かった町なんだそうです。県立図書館は遠いし、隣町の図書館は閲覧はできても貸し出しなどはさせてくれません。彦根市内の高校に通うようになって、ようやく「彦根市民、または彦根市に通勤通学する者」の仲間になれた私は、図書館が使えることが法外の喜びでした。そんな日野町に図書館ができたのがいつだったのか、定かには覚えていませんが、私が大学生になって京都で暮らすようになってからではありました。ふるさと納税をしている関係で町の広報を送ってきてくださるのですが、図書館のページが必ずあり、今の日野町の子どもたちがうらやましい限りです。
けれども全国各地の図書館に、異変が起きていることをご存知でしょうか?
最近では、図書館で働く司書の方の待遇が非常に悪いことを指摘する記事がtwitter上でも反響を呼んでいました。


お寺に住んでいる友人が、「お坊さんと司書さんは似ている。どちらも暇だと思われているが本当は忙しい」という冗談を言っていたことがありますが、図書館司書というのは非常に専門的で大事な仕事です。特に貴重な資料の管理、保存に関わる仕事などはなかなか人目に付かないですが、素人にできることではありません。また、情報を探しだすプロでもあります。私も、学生たちもいつも大変お世話になっています。
図書館が危機的状況になりつつある大きなきっかけは、民間委託であろうと思います。例えば、民間委託された図書館が個人情報を安易に渡してしまったことも問題になっています。


本来図書館は、『図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする』という文言で始まる「図書館の自由に関する宣言」を守っているのですが、民間委託でそういうところも甘くなりつつあるようです。


また、全国各地で問題になっているのは、いわゆるツタヤ図書館問題(ツタヤを運営するCCCが指定管理者になっている図書館の問題)です。



なお、ツタヤ図書館に関する問題については、「図書館友の会全国連絡会」が「『ツタヤ図書館』の今ー公共図書館の基本ってなんだ?」という冊子(2016年発行、2018年改訂)をまとめています(リンクをクリックするとpdfが開きます)。問題点が分かりやすく書かれていると思います。
和歌山市ではこんなこともおきています。


図書館の危機で郷土の歴史資料が散逸、郷土史研究が崩壊するという懸念もあります。


そもそも、社会教育施設である図書館を、「教育委員会」ではなく「観光政策課」が管理しても良いことにするという政府の方針には、呆れて口がふさがりません。


最後に、ツタヤ図書館を検索するとなぜか上位に出てくる記事について、1つ1つ反論を書いてあるツイートを紹介します。記事の写真ではなく、ハトのマークをクリックしてください。このツイートの下に反論がずらっと並んでいます。

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西垣順子<大阪市立大学 大学教育研究センター>
滋賀県蒲生郡日野町生まれ、京都で学生時代を過ごす。今は大阪で暮らしているが自宅は日野にある。いずれはそこで「(寺じゃないけど)てらこや」をやろうと模索中。老若男女、多様な背景をもつ人たちが、互いに互いのことを知っていきながら笑ったり泣いたり、時には怒ったりして、いろんなことを一緒に学びたいと思っている。著書に「本当は怖い自民党改憲草案(法律文化社)」「大学評価と青年の発達保障(晃洋書房)」(いずれも共著)など。


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