高齢期の暮らしと住まい(27)

カールスクローナ市にある住宅庁

「住宅庁」のあるスウェーデン

先週、スウェーデンの高齢者住宅に少し触れましたので、もう少しスウェーデンの高齢者住宅について述べてみたいと思います。スウェーデンは日本の面積の約1.2倍で人口は12分の1程度。冬の日照時間は非常に短く気温も低い国。スウェーデンを含む北欧は、日本よりいち早く「高齢社会」の問題に取り組み始めていました。2015年の冬にスウェーデンの行政機関「住宅庁」に訪れ話を聞きました。建築関係の規制や条例の発効をしていますが、おもに長期的に住宅市場と住宅目標を計画し、消費者の需給にあった住宅市場を形成するために、調整・計画、さらにバリアフリー化などかなりの権限をもって実施しているようでした。先進諸国で住宅政策を聞いていると、日本のように「市場まかせ」の国はほとんどありません。日本は空き家問題を重視しているにもかかわらず、新しくどんどん住宅を作ることに規制しないどころか、緩和をしているくらいです。住宅市場のコントロールが行政で必要と個人的には感じています。

 

視覚や聴覚障害者に対する配慮も法律として細やかに規定

「安心住宅」と「特別な住居」

スウェーデンは、施設から住宅へ、国から地方へ、など1990年代前半にエーデル改革という福祉の大きな改革がありました。高齢期も基本的には「在宅」主義であり、住みやすい高齢者住宅に移るときもできるだけ同じ地区内。原則55歳以上とする「シニア住宅」、一人暮らしに不安のある人が暮らす70歳以上対象の「安心住宅」に住み替え、介護や生活支援が必要になれば、市が提供する訪問介護サービスを利用。重度の介護(認知症)となった場合、施設内介護が付いた「特別な住居」もありますが、高齢者全体の5%程度ということで、入居のためには行政の判断が必要となります。安心住宅などの建築や改築には、公的な補助金も出ますが、入居者への家賃補助(訪問時では1ヶ月最大約71,000円/当時レート換算)がなされることが特徴です。日本の相場より家賃は低いですから、月に最大7万円補助してもらえると、充分な住宅に住めることは想像に難くないでしょう。従って、高齢期の居住の権利は日本よりずっと保障されていると感じます。

 

住宅供給計画は、住民の背景などを予測し長期でつくられる

議員と選挙

北欧では、選挙の投票率が非常に高いです。さらに議員も若いもしくは中年世代が多く、日本のように高齢者(苦笑)はほとんどいないようです。さらに無報酬か非常に低額なため、ほぼすべての人が自分の職業を持っています。逆に、本業がある上で、地域のために議員として活動もしている、といったほうが正しいでしょうか。以前、スウェーデンの中学生の教科書(訳本)を読んだことがありますが、税金の使われ方、自分たちの社会的な権利などが具体的に書かれていて、子どものときから人権や社会への関わりを学んでいることがわかります。「住宅」は、人々が生活するもっとも基本の部分であることがきちんと政策に反映されている、といえるでしょうか。

 

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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。2016年独立。

 


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