高齢期の暮らしと住まい(7)

国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(2018年推計)」より

人口減社会の中での高齢者世帯増加

先日1月12日に、国立社会保障・人口問題研究所が「日本の世帯数の将来推計」を発表しました。推計期間は2015年から2014年までの25年間。すでに日本は人口が減少していることが報道されていますが、一般世帯人員は2015年の1億2430万人から2040年には1億570万人と、1860万人も減少されると予測されています。また、平均世帯人員も2015年2.33人から2040年2.08人まで減っていきます。あくまでも平均ですから、大家族もいるものの単独世帯の増加が平均を下げているのがわかりますね。そして気になる高齢者世帯は、65歳以上の世帯総数は2015年1918万世帯から2040年2242万世帯と324万世帯増加するとされています。

 

シングルの増加と介護

高齢期の独居は、「夫婦世帯のうちいずれかが死亡」することで増加すると考えられていました。平均寿命からも女性が単独で残ることがかなり多くなっています。しかし、今後の独居高齢者増加には、生涯未婚者の割合が増えていきます。1980年代以降「未婚=結婚しない」が増加していきました。男女雇用均等法施行の時期と重なりますが、さまざまな要因があります。古代より人々が助け合って集まって生きていく(家族をつくる)ことが、ある意味「生きる術」であったのが、社会や経済変化により「ひとりでも生きていける」ようになったことが大きいと思います。一方で、若くて元気なうちはひとりでも何とかなるものの、問題は加齢に伴い「できなくなること」が増えてきた場合です。特に介護は、生活のしやすさを支援するだけでなく、介護がないと「生死」に関わる場合もあります。

 

家も街もコンパクトに

「少子化対策が重要」とはもう長らく言われていることですが、なかなか進みません。出生率が改善されてもその効果が出てくるのは20年以上も先のことになります。そんな中で、どのように増加する高齢世帯をサポートしていけるか、喫緊の対策が必要となります。まずは、高齢者自身が「健康・自立・自律」を最大限意識することが最も大切。そして、住まいの見直し、居住する街を暮らしやすくコンパクトにしていくことも必要です。「先祖代々住んできた我が家」から離れることはアイデンティティの問題でもありますが、行政と住民が協力しあって安全なまちづくり、家づくりをしていくことがこれからは避けられません。お住まいの地域の取組みをぜひ一度確認してみてほしいと思います。

 

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山中由美<エイジング・デザイン研究所>
大学卒業後、商社等を経て総合コンサルティング会社のシニアマーケティング部門において介護保険施行前から有料老人ホームのマーケティング支援業務に携わる。以来、高齢者住宅業界、金融機関の年金担当部門などを中心に活動。2016年独立。

 


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